2015年2月18日
パーソナルメディア株式会社
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-29-1 コイズミビル
TEL.03-5759-8305 FAX.03-5759-8306
E-mail:te-sales@personal-media.co.jp
(T-Engineのウェブサイト)http://www.t-engine4u.com/
IoTシステムの短期開発を強力に支援する
「PMCセミカスタムIoT」をパーソナルメディアが新発売
パーソナルメディア株式会社(代表取締役:松為彰、本社:東京都品川区、電話番号03-5759-8305、資本金1,000万円)は、お客様の想定する用途やご要望に応じた多様なIoT(Internet of Things)システムを短期間に効率よく構築できるソリューションとして、セミオーダーメイド型のIoTシステムの開発に成功し、「PMCセミカスタムIoT」の名称で本日2月18日より受注を開始します。
近年、モバイルネットワークなどのインターネットインフラの進展を背景に、従来のパソコンやプリンタなどのIT関連機器だけではなく、照明やAV機器などの家電、エアコンや給湯器、ドアの鍵などの住宅設備機器、温度や湿度などの各種環境センサー類をインターネットに接続し、計測データ、センサーデータ、制御データなどの通信によって各種の機器を制御する「モノのインターネット(Internet of Things : IoT)」の実現例が増えています。IoTの技術により、これらの家電や各種の設備機器、人間の操作するパソコンやスマートフォン、クラウドや各種データベースなどの間で協調動作を行うことが可能となり、従来よりも便利で効率がよく、かつ省エネなどの点で環境負荷の少ない社会生活を営んでいくことができます。国内のIoT市場は急速に成長しており、2019年においては16.4兆円に達すると予測(*1)されています。
IoTの端末側の機器を制御する組込み用コンピュータでは、センサーやネットワークなどの多数の入出力デバイスを、高速かつ同時に並行して制御する必要があります。しかし、このような機器では、一般に物理サイズや電源容量などハードウェア面の制約が厳しいことに加えて、大量生産時のコスト面の制約もあるため、ROMやRAMを内蔵した安価なシングルチップマイコンを使う場合が多く、WindowsやLinuxなどの情報系OSを動かすことはできません。
このように制約の厳しい用途を想定して設計された組込み制御用のOSが、TRONプロジェクト(*2)の成果である「ITRON」や「T-Kernel(*3)」です。昨年30周年を迎えたTRONプロジェクトでは、1980年代から、組込み制御用のごく小規模なマイクロコンピュータ同士が協調動作するネットワークを想定し、そのための技術開発を進めてきました。その成果である「ITRON」「T-Kernel」やこれらの関連技術は、現在IoTと呼ばれている各種のシステムを実現するために役立っています。
パーソナルメディアにおいても、IoTという用語が生まれる以前から、TRONプロジェクトの中で培った組込みとユビキタスの技術を活用しつつ、いろいろな機器をネットワークに接続して協調動作させるシステムを開発してきました。東京都と国土交通省が主催する「東京ユビキタス計画」(*4)への参画、RFIDタグを用いた各種のトレーサビリティ実証実験への協力、FeliCaやMifareなどのICカードを利用した出退勤管理システム、リモート監視機器の開発など、この分野において数多くの実績があります。
このたび開発した「PMCセミカスタムIoT」は、IoTに関する当社のこういった経験と実績をベースにした、汎用性の高いセミオーダーメイド型のIoTシステムです。IoTの端末ノードとして利用できるハードウェア機器、それに接続できる多種多様な入出力デバイス、対応するデバイスドライバ、ミドルウェアなどが、数多くの選択肢として用意されており、クラウドサーバ側のソフトウェアと合わせてカスタマイズや調整を行うことによって、お客様のご要望に応じたIoTシステムを短期間に開発できます。また、端末ノードとクラウドサーバの間の通信のフォーマット(プロトコル)を標準化しているため、機器や入出力デバイスの変更、追加などがあっても対応しやすいほか、クラウドサーバ側の開発と端末ノード側の開発をお客様と当社とで分担したり、並行して進めたりすることも可能です。
パーソナルメディアは、今後も組込み技術とユビキタス技術に関する研究開発を続け、両者の相乗効果を活かしたソリューションをお客様に提供することにより、IoTの普及に貢献していく所存です。
- (*1)
- 2015年2月 IDC Japan株式会社 「国内IoT市場 2014年の推定と2015年~2019年の予測」より http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20150205Apr.html
- (*2)
- TRONプロジェクト http://www.t-engine.org/ja/
- (*3)
- T-Kernelとは? http://www.t-engine.org/ja/what-is-t-kernel
- (*4)
- 「東京ユビキタス計画」の取組
http://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/soukou/soukou-magazine/0908tokyo.pdf
「PMCセミカスタムIoT」のシステム概念図
- IoTデバイスライブラリの利用により、IoT端末ノードやIoT入出力デバイスを短期間に開発できます。
- 通信プロトコルを標準化しているため、端末ノード側とクラウドサーバ側を独立して開発できます。
「PMCセミカスタムIoT」の特長
短期間、低コストでお客様のIoTシステムを開発
IoT(Internet of Things)の基本機能を実現する汎用性の高いシステムが既に動作しており、これをベースにお客様の用途やご要望に合わせたカスタマイズ(修正、追加、改造など)を行うことによって、短期間、低コストでお客様のIoTシステムを開発できます。カスタマイズのベースとなるIoTシステムには、端末ノードのハードウェアや通信方法などが異なった複数のバリエーションが用意されており、お客様の想定されるシステム構成に応じて、最適なものを選ぶことができます。
豊富なIoTデバイスライブラリ
「PMCセミカスタムIoT」では、端末ノードや入出力デバイスとして使用することを想定した機器類を、あらかじめ「IoTデバイスライブラリ」として準備しています。IoTデバイスライブラリには、当社で開発実績のある組込みボードや携帯情報端末、デバイスドライバ開発経験のある入出力デバイスなどが幅広く含まれており、この中から選択してカスタマイズしたものを端末ノードとして利用することによって、お客様の要求に応じたIoTシステムを短期間で開発できます。
一方、お客様ご指定の機器やハードウェアを端末ノードとして利用し、その上で動作するOSやデバイスドライバ、制御用アプリケーションの一部を当社にて開発してご提供することも可能です。
- 【IoTデバイスライブラリ】
-
端末ノードとして利用できる携帯端末 スマートフォンおよびタブレット端末(Android搭載端末、iOS、Windows)、
UC(ユビキタスコミュニケータ)、業務用UC端末ノードとして利用できる組込みボード 産業用パソコン、
μTeaboard 2.0、Teacontroller、
Intel Edison、Galileo Gen 2、その他端末ノードで利用できるOS T-Kernel(T-Kernel 2.0、μT-Kernel 2.0を含む)、Linux、Windows 端末ノードに接続されるIoT入力デバイス 温度センサー、湿度センサー、光センサー、
人感センサー、RFIDリーダー、ICカードリーダー、各種スイッチ、USBカメラ、その他端末ノードに接続されるIoT出力デバイス ブザー、モーター、電気錠、家電などの制御、モニタ画面への表示、その他
通信のフォーマットをJSONやCoAPで標準化
端末ノードとクラウドサーバの間の通信のフォーマット(プロトコル)を標準化しているため、端末ノード側およびクラウドサーバ側の処理プログラムの開発を分担して進めることができます。これにより、開発期間の短縮や開発コストの低減につながるほか、端末ノード側あるいはクラウドサーバ側を、当社ではなくお客様ご自身で開発することも可能です。端末ノードとの通信データはJSON(JavaScript Object Notation)で記述されているため、サーバー側の環境の開発者には馴染みやすく、この通信データを処理するWebアプリなどを容易に開発することができます。また、より軽量化されたプロトコルであるCoAP(Constrained Application Protocol)を利用することも可能です。
T-Kernelによるコンパクトで省電力の端末ノード
IoTシステムの端末ノード側は、バッテリ駆動などに対応するため、省電力への要求が特に厳しい場合があります。また、量産時の製造コストや機器サイズの制約から、CPUの性能、メモリ容量などのハードウェアリソースも厳しい場合が多く、こういったケースではWindowsやLinux、Androidなどの汎用の情報系OSを利用することは困難です。
「PMCセミカスタムIoT」では、端末ノード側の多くの機器で、リアルタイム性に優れたコンパクトな組込みOS「T-Kernel」(*4)を採用しており、ハードウェアリソースの厳しい環境下においても高速な処理を実現します。「T-Kernel」は組込みOSとして多くの実績があり、このOSを組み込んだ機器は、一般的な専用機と同じく、メンテナンスフリーで長期間利用できます。
なお、端末ノード側で動作させたいソフトウェアや実現すべき機能、利用可能なハードウェアなどの条件に応じて、T-KernelではなくWindowsやLinux、Androidなどを使用したシステム構成も可能です。
セキュリティにも配慮
必要に応じて、通信データの暗号化やHTTPS(HTTP over SSL/TLS)を用いた通信、電子証明書を用いたサーバや端末ノードの認証を行うことにより、セキュリティに配慮したIoTシステムを構築できます。
また、端末ノード側においては、WindowsやLinux、Androidなどの汎用の情報系OSではなく、「T-Kernel」などの組込み向けリアルタイムOSを利用することにより、情報系OSを標的としたウイルスやスパイウェアに対して安全な環境を提供します。
「PMCセミカスタムIoT」の応用システム例
(1)光センサーや温度センサーを利用した環境データ監視システム
カスタマイズのベースとなる基本的なIoTシステムです。ペットのいる留守中の部屋など、離れた部屋や場所の温度や環境を連続的に監視して記録、チェックします。光センサーや温度センサーから得られた環境情報を、クラウド上のデータベースに記録します。データベースに記録した情報はPCやスマートフォンのブラウザで参照できます。また、指定した温度を超えた場合など、特定の条件を満たした場合に警告のメールを送ることも可能です。
端末画面
(2)ICカードを利用した出席・出退勤のタイムレコーダ
カスタマイズのベースとなる基本的なIoTシステムです。Suica、PASMO、EdyなどのICカードをカードリーダーにタッチすることにより、出席、出勤、退勤などを電子的に記録します。社員やアルバイトの出退勤時刻を記録するタイムレコーダーやタイムカードとして利用可能なほか、塾やサークル、各種会合の出席管理にも活用でき、会場での受付業務を効率化します。(eタッチレコーダーと類似した機能を持つシステムですが、ハードウェアやネットワーク環境が異なります。)
(3)ICカードを利用した電気錠管理システム
社員証のICカードをドアキーとして電気錠を制御するシステムです。タイマーの設定により、指定した時間のみ解錠し、その後は自動的に施錠します。誰がいつどこの部屋に入室したのか、ゲートを通過したのか、といった解錠に関する記録をデータベースに保存し、履歴を参照することができます。各社員やアルバイトの業務内容、セキュリティレベルに応じて、入室の可能な部屋および時間を細かく設定できるほか、ICカードの紛失時には紛失したカードのみをすばやく無効化し、紛失したカードの悪用を防ぐことができます。
(4)運転免許証を利用したドライバー管理システム
トラックなどの乗務員の点呼の際に利用するシステムです。ICカードリーダーで運転免許証を確認し、アルコールチェッカーによる検査結果とともに、点呼の記録としてクラウド上のデータベースに記録します。点呼の記録は、PCやスマートフォンのブラウザで参照できるほか、メールでの通知も可能です。
(5)RFIDタグを用いた現場点検システム
公園の遊具など、屋外の公共の施設にRFIDタグを付けておき、それらの施設の状態を現場で点検して記録するシステムです。点検項目がハンディ端末に表示され、点検の結果を担当者が端末に入力します。インターネットとの通信ができない場合は、端末側に点検結果を記録しておくこともできます。
(6)マイクロチップを用いた動物個体管理システム
マイクロチップと呼ばれる動物用電子タグを用いた動物個体管理システムです。家畜などの動物に埋め込まれたRFIDタグを、市販の専用リーダーで読み取り、Bluetoothでハンディ端末に送信した後、インターネット経由でクラウド上のデータベースと照合、記録します。ハンディ端末上にもウェブサーバを備えているため、インターネットとの通信ができない場合でも、ローカル環境での情報閲覧が可能です。マイクロチップの利用により、動物の個体識別のほか、体温の測定や記録もできます。
(7)電力エネルギー見える化システム
家電やエアコンの電力の監視をする組込み制御ボードと、エネルギー管理データベースを、ネットワークで接続し、電力使用量の記録や表示を行うシステムです。現在の各機器の電力消費量や時間経過による推移を、グラフなどで表示します。
(8)NFC対応スマートフォンによる待ち合わせ支援システム
街路灯などに貼られたNFCタグ(ICタグプレート)に、NFC対応のスマートフォンをタッチさせることで、自分の正確な位置を認識します。その情報をインターネット経由で待ち合わせの相手と共有し、スマートフォン画面の地図上に待ち合わせ相手と自分自身の位置を表示することで、人とのスムーズな待ち合わせを実現します。NFCタグの代わりにiBeaconなどの電波マーカー(電波標識)やGPSを使用することも可能です。
- TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
- TRON、T-Kernelは、コンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品を指すものではありません。
- その他商品名等は各社の商標や登録商標です。
- 本資料に記載された製品の仕様、外観イメージ、価格などは、発表日現在のものです。最終的に販売される製品では、変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。ご購入の際は、最新情報をご確認ください。