2011年5月17日

パーソナルメディア株式会社
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(T-Engineのウェブサイト)http://www.t-engine4u.com/

進化するTRONの最新の成果が動く
SDK付き組込み向けボード
「T-Kernel 2.0リファレンスキット」を新発売

組込みシステムの総合ソリューションを提供するソフトウェアメーカーのパーソナルメディア株式会社(代表取締役:松為彰、本社:東京、電話:03-5759-8305、資本金1,000万円)は、TRONの最新の成果である「T-Kernel 2.0」をいち早く実装したSDK(*1)付きの組込み向けボード「T-Kernel 2.0リファレンスキット」を、2011年5月31日より発売いたします。

T-Kernelは、組込み機器の開発の効率化やユビキタス・コンピューティング環境の実現を目的に活発な活動を続けるT-Engineフォーラムから、オープンソースのソフトウェアとして提供されるリアルタイムOSです。25年の実績を持つITRONのリアルタイム性を保ちつつ、ファイル管理やTCP/IPなどの豊富なミドルウェアを搭載し、高機能な組込み機器を容易に開発できます。T-Kernelは2002年に開発されて以来、既に10年近くの実績があり、業務用端末やカーナビ、プリンタなど多くの機器に採用されてきました。

このT-Kernelのバージョンアップ版として、2010年の春より技術検討と仕様策定の行われてきた次世代のリアルタイムOSがT-Kernel 2.0です。T-Kernel 2.0では、高性能化するハードウェアに対応するため、マイクロ秒単位で指定可能なタイマ関連の機能などが強化されており、機器制御の際の時間的な精度をより高めることができます。T-Kernel 2.0のソースコードは、本日5月17日より一般向けにも公開が始まります。

この度当社から発売する「T-Kernel 2.0リファレンスキット」は、本日公開されるT-Kernel 2.0ソースコードの動作対象ボードとしてT-Engineフォーラムが認定した、「T-Engineリファレンスボード」のハードウェアを含む開発評価キットです。ボードにはARM11コアのCPUを搭載し、WVGAのタッチパネル付きLCD、LAN、USB 2.0、シリアル、GPIO、microSDなどの豊富な入出力デバイスを備えています。また、T-Kernel 2.0のほか、ファイルやTCP/IP、GUIなどの組込み向けミドルウェア、LANやUSBなどのデバイスドライバ、Eclipseなどの開発環境も付属しています。このため、たとえばタッチパネルを使っていろいろな入出力デバイスを操作するようなプログラムを容易に開発することができ、工場での機器制御や情報表示端末、住宅やビルの設備機器、券売機や電子マネー決済の操作端末、GUIやハードウェア制御を含む組込みプログラミングの実習用教材など、幅広い用途でご利用いただけます。

「T-Kernel 2.0リファレンスキット」の標準価格は税込89,250円(本体価格85,000円)で、パーソナルメディアのウェブショップなどからご購入いただけます。製品への組込みや教育機関でのご利用など、10台以上をまとめてご購入の場合には、ボリュームディスカウントが適用されます。

パーソナルメディアでは、今後もT-Kernel 2.0を核とした各種の組込み向けソフトウェアの開発や製品の提供を通じて、高機能な組込み機器や、さまざまなユビキタス機器の開発に貢献していく所存です。

(*1)
SDK (Software Development Kit): 開発環境、OS、ミドルウェア、技術ドキュメントなどを含めたプログラム開発用のソフトウェアパッケージです。

製品写真

補足資料

「T-Kernel 2.0リファレンスキット」の特長

  • 組込み機器向けの次世代リアルタイムOS「T-Kernel 2.0」を搭載した、高性能で高機能な組込み向けボードです。T-Kernel用の各種ミドルウェアやデバイスドライバ、開発環境、技術ドキュメントなども付属しており、組込み機器の開発に必要なハードウェアとソフトウェアをワンパッケージで提供しています。
  • T-Engineフォーラムからオープンソースとして公開されている T-Kernel 2.0 がそのまま動作します。
  • WVGA(800×480ドット)のタッチパネル付きLCDのほか、LAN、USB 2.0、UART(シリアル)、GPIO、microSDカード、eMMC、サウンド、HLS(ハイスピード・リンク・システム)、チップLED、PUSHスイッチ、照度センサー、温度センサー、カメラ(オプション)など、豊富な入出力デバイスを備えています(*2)。
  • ファイル管理やプロセス管理を実現する「PMC T-Kernel Extension」、ネットワーク通信用のTCP/IP、GUI構築用ミドルウェア「PMC T-Shell」、ビジュアル言語「マイクロスクリプト」などが付属しており、GUIを含めた各種のアプリケーションを容易に開発できます。また、オプションで「Qt(キュート)」のGUIライブラリもご利用いただけます(*3)。
  • 英語版のソフトウェアとドキュメントが付属しており(*4)、日本国内に限らず世界各国のお客様にご利用いただけます。
(*2)
サウンドなど一部の入出力デバイスについては、デバイスドライバが付属しておりません。
(*3)
「Qt(キュート)」のご提供の時期については、お問い合わせください。
(*4)
一部の英語ドキュメントは、2011年6月にご提供の予定です。

「T-Kernel 2.0リファレンスキット」の応用例

  • T-Kernel 2.0の評価や開発
  • 工場での機器制御や情報表示端末
  • 住宅やビルの設備機器の制御や操作端末
  • 店舗や生産現場でのPOP端末
  • 券売機や電子マネー決済の操作端末
  • リアルタイムOS、ハードウェア制御、GUIなどの組込みプログラミングの実習用教材

「T-Kernel 2.0リファレンスキット」の製品内容

【ハードウェア】
CPUボード + LCDボード + DSUB-9P変換ケーブル(*5) + 金属製フレーム
ACアダプタ
T-Kernelのプログラム開発を行うには、本製品および開発用のWindowsパソコンのほかに、microSDカードとUSBケーブルが必要です。
【ソフトウェア】
ターゲット用
T-Monitor PMC T-Monitor
T-Kernel PMC T-Kernel 2.0
T-Kernel Extension PMC T-Kernel Extension (プロセス管理、ファイル管理など)
デバイスドライバ microSD、LAN、USB 2.0(ホスト用)、シリアル、RTC、 KB/PD、スクリーン(LCD)、タッチパネル、 USB-HIDクラス、USB-マスストレージクラスなど
ミドルウェアなど PMC T-Shell (GUIミドルウェア)、マイクロスクリプト (ビジュアル言語)、CLIなどの開発ツール、ユーティリティなど
開発ホスト(Windows)用(*6)
SDK Eclipse for PMC T-Kernel
・GNU C/C++コンパイラ(T-Kernel対応済み)
・GDB(ソースレベルデバッガ)
・ANSI Cライブラリ、T-Kernel関連ライブラリ、サンプルソースなど
(*5)
DSUB-9Pコネクタへの変換ケーブル(シリアル用)が1本のみ付属します。
(*6)
開発ホスト(Windows)の環境は、Windows XP SP3、Windows Vista(32ビット版のみ対応、64ビット版は不可) および Windows 7 (32ビット版/64ビット版)で動作を確認しています。なお、GUIを使わないGNU開発環境は Linux 上でも動作します。Ubuntu 8.04 で動作を確認しています。


ボードのハードウェア仕様

【CPUボード】
CPU ルネサス エレクトロニクス EMMA Mobile1-D (ARM11コア, 500MHz)
Flash ROM 32MB (NOR Flash)
RAM 64MB (CPU内蔵)
eMMC 4GB, 二次記憶として利用可能
JTAG-ICE I/F 京都マイクロコンピュータ PARTNER-Jet用
電源 DC +5V、ACアダプタから供給
寸法 CPUボード: 137mm×75mm (突起物を除く)
金属製フレーム: 161mm×87mm (突起物を除く)
RoHS指令 対応
入出力I/F
microSDスロット 1スロット
LAN 10/100BASE-T、RJ-45コネクタ
USB-OTG(*7) USB 2,0対応、mini-ABコネクタ
USB-UART(*8) mini-Bコネクタ
シリアル(*5)(*9)×2 RS-232またはCMOSレベルを切替
絶縁入出力(*9)×4ビット フォト・カプラにより絶縁したGPIO
Sound(*9) マイク入力、スピーカ出力
HLS(*9) ハイスピード・リンク・システム
その他 チップLED×4、プッシュSW×4、
照度センサー、温度センサー、
カメラモジュール(オプション)
(*7)
マウス、キーボード、USBマスストレージなどのUSB機器の接続には、USB mini-Aコネクタを持ったUSBケーブルが必要です。なお、付属のデバイスドライバではUSB-Hostの機能が利用可能で、USB-Functionとしての機能はサポートしておりません。
(*8)
デバッグ用コンソールとして、開発用PCのUSBに接続して利用可能です。
(*9)
コネクタは、CPUボード上のボックス型基板コネクタを使用します。
【LCDボード】
LCD 4インチ、TFTカラー、800×480ドット
タッチパネル 抵抗膜式


パーソナルメディア株式会社とT-Engineプロジェクト

パーソナルメディア株式会社は、組込み機器のためのオープン開発プラットフォームであるT-Engineプロジェクトに積極的に参加し、開発から技術サポート、販売から出版まで、幅広い事業を展開しています。具体的には、「PMC T-Kernel」のポーティングやチューニング、組込み向けデバイスドライバ「PMC T-Drivers」の開発や移植、T-Kernelを搭載した極小マカロン型コンピュータ「Teamacaron®」の開発や販売などを行い、その実績は多くのお客様に高くご評価いただいております。

また、T-Kernel 2.0ワーキンググループの座長としてT-Engineフォーラムの活動に協力し、T-Kernel 2.0の仕様策定を進めて参りました。その成果をいち早く実装した「T-Kernel 2/x86評価キット」などの製品も発表しています。

参考資料

T-Engineフォーラム
http://www.t-engine.org/
パーソナルメディアのT-Engineソリューション
http://www.t-engine4u.com/
パーソナルメディアのウェブショップ
http://www.personal-media.co.jp/webshop/



  • TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
  • TRON、T-Engine、μT-Engine、T-Monitor、T-Kernelは、コンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品を指すものではありません。
  • Teamacaron はパーソナルメディア株式会社の登録商標です。
  • その他商品名等は各社の商標や登録商標です。
  • 本資料に記載された製品の仕様、外観イメージ、価格などは、発表日現在のものです。最終的に販売される製品では、変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。ご購入の際は、最新情報をご確認ください。