2016年12月8日

パーソナルメディア株式会社
〒142-0051 東京都品川区平塚2-6-13 マツモト・スバルビル
TEL.03-5749-4933 FAX.03-5749-4936
E-mail:te-sales@personal-media.co.jp
http://www.t-engine4u.com/

IoT時代の組込み教育現場ですぐに使える教材セット
「IoT-Engine 教育&実習パッケージ」を新発売

組込みシステムの総合ソリューションを提供するソフトウェアメーカーのパーソナルメディア株式会社(代表取締役:松為彰、本社:東京、電話:03-5749-4933、資本金 1,000万円)は、IoT時代の組込み教育の現場ですぐに使える実習付き教材セット「IoT-Engine 教育&実習パッケージ」を開発し、2017年3月1日より発売いたします。また、12月14日(水)~16日(金) に東京ミッドタウンで開催される「2016 TRON Symposium」のパーソナルメディアのブース(ブース番号:A-3)にて、本製品の展示を行います。

近年、モバイルネットワークなどのインターネットインフラの進展を背景に、モノのインターネット「IoT(Internet of Things)」が注目され、国内のIoT市場も急速な成長が見込まれています。IoTの需要が高まる中で、オープンIoTを推進する標準化団体トロンフォーラムでは、IoT機器開発のためのプラットフォーム「IoT-Engine」の標準規格化を進めてきました。この規格では基板上のコネクタや搭載するオペレーティングシステム(OS)が定められており、既に半導体メーカー7社がこの規格に準拠した製品を提供しています。また、IoTの機器側(エッジノード側)となるデバイスをすばやく開発するために必要なハードウェアとソフトウェアをワンパッケージ化した商品として「IoT-Engine開発キット」が販売されており、パーソナルメディアもその代理店となっています。

IoTの応用システムにおいては、クラウド側の開発に加えて、機器側(エッジノード側)の開発が極めて重要です。しかし、エッジノード側ではメモリ容量やCPU性能などのリソースが極めて限られている上に、機器のリアルタイム制御といった高度な技術が必要であり、このような要件に対応できる組込み技術者が不足しています。組込み技術者の人材育成のためには優れた教育体制と教材が必要ですが、大学や専門学校、職業訓練校などの組込み教育の現場の担当者からは、良い教材を自分で作成する時間がとれず、かといって市販の教材を利用しようとしても適当なものが見つからない、との声があります。

このような要求に応える製品が、新発売の「IoT-Engine 教育&実習パッケージ」です。本製品は、組込み教育で実績のある当社の「リアルタイムOS 教育&実習パッケージ」をベースに、実行用ボードとしてIoT-Engineを採用し、IoT関連の講習用スライドや例題プログラムなどの教材を追加、IoTの応用システムや関連機器の開発にも対応したものです。リアルタイムOSからIoT応用システムまで、シームレスなカリキュラムで学習できます。

トロンフォーラムでは、IoT-Aggregatorと呼ばれるクラウド側のプラットフォームを使って多くのIoT機器が有機的、総体的に連携する「アグリゲート・コンピューティング」を提唱しており、IoTの技術はさらなる進歩を続けています。パーソナルメディアは、トロンフォーラムの幹事会員およびIoT-WGのメンバーとして今後もこの活動に協力し、組込みやIoTに関する研究開発を進めていきます。また、「IoT-Engine 教育&実習パッケージ」の販売や、トロンのプロジェクトリーダーが自らIoTを解説する新刊書「オープンIoT ― 考え方と実践」の出版などを通じて、組込みやIoTの技術の普及に貢献していく所存です。

補足資料

「IoT-Engine 教育&実習パッケージ」のイメージ

商品イメージ


「IoT-Engine 教育&実習パッケージ」の特長

教育と実習に必要なすべてをワンパッケージ化
座学から例題による実習、本格的な組込みシステムやIoT応用システムの開発に至るまでに必要なすべての教材や資料、ハードウェア、ソフトウェアが含まれています。本製品と開発用のICE(In-Circuit Emulator)およびWindows PCをご用意いただくだけで、本格的なリアルタイムOSを使ったプログラミング実習が可能です。
すぐに使える教育機関向けの教材をご提供
当社の30年にわたるTRON関連の技術開発と書籍の出版、T-Kernelセミナーなどのノウハウをすべて凝縮した、完成度の高い座学向けの教材と例題が付属します。これらの教材は、工学系の専門学校や大学などの教育機関におけるリアルタイムOSの講義やセミナー用にそのままご利用いただけるほか、各学校のカリキュラムに合わせて教材を編集し、カスタマイズしていただくことも可能です。
豊富な例題プログラム
タスクのスケジューリングやセマフォによる排他制御の動き、IoTにおける通信機能などを細かく確認する基本的な例題から、「LEDと割込みによるルーレット」や「高度な排他制御」などの総合的な応用問題まで、豊富な例題プログラムが付属します。
リアルタイムOSの動作をビジュアルに表示するタスクトレーサ
付属のタスクトレーサにより、例題プログラム実行時のタスク遷移、システムコール発行などの履歴をビジュアルに表示します。割込みハンドラの動きや遅延ディスパッチ、タスクの優先度に応じたプリエンプティブなスケジューリングなど、リアルタイムOS の機能として本質的な部分の動作を、画面を見ながら理解できます。
IoT技術の学習にも対応
IoT(Internet of Things)の応用システムや関連機器の開発に向けた教材も含まれます。実習には同じボードが使用できますので、リアルタイムOSからIoT応用システムまで、シームレスなカリキュラムで学習できます。

「IoT-Engine 教育&実習パッケージ」の仕様

表1. パッケージの内容
実行用ボードと通信機器 TX03 M367 IoT-Engine、RFモジュール、IoT-Engineスターターボード、パケットスニッファボード、6LoWPANボーダルータ
付属ソフトウェア μT-Kernel 2.0(リアルタイムOS)、デバイスドライバ、μT-Kernel関連ライブラリ、I-right/TK(ITRONラッパー)、ユーティリティ
開発用ツール GNU開発環境、タスクトレーサ
教材 標準カリキュラムに沿った講義用スライド集、例題プログラム集
表2. 付属教材の標準カリキュラム
Part-1. 理論編 1. 組み込みシステムの基礎
  • 多様なハードウェア、CPU、入出力
  • 厳しいリソース
  • リアルタイム、マルチタスク制御
  • クロス開発
2. リアルタイムOSの基本概念
  • リアルタイムOS利用のメリット
  • 割込みハンドラとタスク
  • タスク分割
  • タスクの状態遷移
  • タスク優先度
3. リアルタイムOSの機能
  • タスク管理機能、タスク付属同期機能
  • 同期・通信機能、拡張同期・通信機能
  • メモリプール管理機能
  • 時間管理機能
  • 割込み管理機能
4. IoTの機能
  • ネットワーク通信(TCP/IP)
  • ネットワーク通信(6LoWPAN,CoAP)
  • IoTの応用例とIoT-Aggregator
Part-2. 実習編 1. 開発環境
  • 開発環境の構成
  • 開発環境の構築
  • コンソール機能の利用
2. 例題プログラム(ハードウェア操作編)
  • GPIO
  • LED、D/A変換
  • 割り込み、A/D変換
  • PWM、ハードウェアタイマー
3. 例題プログラム(リアルタイムOS編)
  • タスク
  • 周期ハンドラ、アラームハンドラ
  • セマフォ、ミューテックス、イベントフラグ
  • メッセージバッファ、メールボックス、メモリプール
4. 例題プログラム(IoT編)
  • ネットワーク通信(UDP over 6LoWPAN)
  • ネットワーク通信(CoAP over 6LoWPAN)
5. 総合例題
  • チャタリング除去
  • 計数器、ルーレット
  • 高度な排他制御 (哲学者の食事問題、優先度逆転)

T-Kernel 2.0およびμT-Kernel 2.0について

T-Kernelとは、組込み向けソフトウェアの開発効率向上やユビキタス・コンピューティング環境の実現を目的に活発な活動を続けるTRONプロジェクトで開発された次世代のリアルタイムOSです。30年の実績を持つITRONのリアルタイム性を保ちつつ、機能の追加や標準化の範囲の拡大を行い、高機能な組込み機器の制御用ソフトウェアを効率よく開発できるように設計されています。T-Kernelは、業務用端末やカーナビ、プリンタなど、既に多くの機器に採用されています。T-Kernelの最新版が2011年5月に公開されたT-Kernel 2.0です。一方、T-Kernel 2.0をベースにさらにコンパクト化を進め、ROMやRAMを内蔵したシングルチップマイコンにも適応させた省資源版のT-KernelがμT-Kernel 2.0です。

IoT-Engineについて

IoT-Engineは、坂村健トロンフォーラム会長が提唱する「アグリゲート・コンピューティング」を実現するためにトロンフォーラムで標準規格を定めた、オープンなIoTのための標準プラットフォーム環境です。IoT-Engineの標準規格では、基板上のコネクタとMPUに搭載するオペレーティングシステム(OS)が定められているほか、インターネット上のクラウドサービスに接続する機能を必須要件としています。IoT-Engineに搭載するOSは、トロンフォーラムがオープンソースとして公開している「μT-Kernel 2.0」です。このIoT-Engineに参加を表明している半導体メーカは、2016年9月現在、東芝マイクロエレクトロニクス、ルネサス エレクトロニクス、Cypress、Imagination Technologies、Nuvoton Technology、NXP Semiconductors、STMicroelectronicsの7社です。

参考情報、リンク集


  • TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
  • TRON、T-Kernel、μT-Kernelは、コンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品を指すものではありません。
  • その他商品名等は各社の商標や登録商標です。
  • 本資料に記載された製品の仕様、外観イメージ、価格などは、発表日現在のものです。最終的に販売される製品では、変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。ご購入の際は、最新情報をご確認ください。

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    μT-Kernelロゴ

    T-Kernel 2.0ロゴ