2015年5月29日

パーソナルメディア株式会社
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(T-Engineのウェブサイト)http://www.t-engine4u.com/

Visual Studioを使ってリアルタイム組込み機器を開発できる
「.NET Micro Framework for PMC T-Kernel」を
パーソナルメディアが新発売

組込みシステムの総合ソリューションを提供するソフトウェアメーカーのパーソナルメディア株式会社(代表取締役:松為彰、本社:東京、電話:03-5759-8305、資本金 1,000万円)は、マイクロソフト社の組込み機器向けファームウェアである.NET Micro FrameworkにT-Kernelのリアルタイム制御機能を付加する「.NET Micro Framework for PMC T-Kernel」と、その評価キットを商品化し、 本日より発売いたします。 本製品の利用により、T-Kernelのリアルタイム処理と連携する組込み機器の制御用アプリケーションを、 統合開発環境Visual Studioで開発できるようになります。

「モノのインターネット(Internet of Things : IoT)」が注目される中、 IoTシステムの構成要素となる組込み機器を効率よく開発したいという要求はますます高まっています。 特に、IoTのセンサーノードや端末側のシステムでは、低コスト、省電力といった制約から、CPU性能が低くメモリも少ない制御用マイコンを使って、高い応答性能を実現する必要があります。このような用途を想定して設計された組込み制御用のOSが、TRONプロジェクトの成果である「T-Kernel」です。オープンソースのリアルタイムOS「T-Kernel」を利用することにより、コンパクトで高性能な組込み機器を効率よく開発することができます。

一方、組込み機器の高機能化や大規模化が進む中で、機器のハードウェアやOS環境への依存性をできるだけ減らすことにより、組込み機器のソフトウェアの開発効率を高めたいという要求もあります。マイクロソフト社から提供されている組込み機器向けファームウェア.NET Micro Frameworkの利用は、それを実現する方法の一つです。.NET Micro Framework上で動作する制御用アプリケーションは、全世界で多数のユーザーを持つ統合開発環境Visual Studioを使って開発することができます。

しかしながら、.NET Micro Frameworkの実行環境はTinyCLR(Tiny Common Language Runtime)と呼ばれる仮想マシン環境の上に実現されており、リアルタイム処理をする機能は含まれていません。この点を解決し、.NET Micro Frameworkを用いた組込み機器にT-Kernelの提供するリアルタイム制御機能を付加するソリューションが「.NET Micro Framework for PMC T-Kernel」です。このソリューションにより、T-Kernel上で動作するリアルタイム制御機能や、T-Kernel用のデバイスドライバ、ミドルウェアなどのプログラム資産と、.NET Micro Framework上で動作するアプリケーションとの連携動作が可能となり、IoTなどの用途に適したコンパクトでリアルタイム性の高い組込み機器を効率よく開発できるようになります。

このたびパーソナルメディアが発売する「.NET Micro Framework for PMC T-Kernel評価キット」は、ARMコアを搭載した組込みボード上でこのソリューションの評価ができる開発評価キットです。 開発評価用ボードやT-Kernel 2.0のソフトウェア開発キット(SDK)のほか、T-Kernel 2.0上で動作する「.NET Micro Framework for PMC T-Kernel」などが含まれており、組込み機器の実機向けのプログラム開発をすぐに始めることができます(*1)。本製品の標準価格は75,000円(税別)で、パーソナルメディアのウェブショップなどからご購入いただけます。お客様の製品への組込みや教育機関でのご利用など、10台以上をまとめてご購入いただく場合には、ボリュームディスカウントが適用されます。

また「.NET Micro Framework for PMC T-Kernel」は、産業用パソコン(x86系のCPUを搭載したPC/ATパソコン互換の制御用コンピュータ)で動作する「PMC T-Kernel 2/x86」でもご利用いただけます。その他お客様のご要望に応じて、お客様の開発された機器やハードウェアに「.NET Micro Framework for PMC T-Kernel」を移植してご提供することも可能です。周辺機器については、個別に対応いたします。

パーソナルメディアでは、T-Kernelを核とした各種のソフトウェアの開発やサービスの提供を通じて、今後とも組込み機器のソフトウェアの開発効率の向上に貢献していく所存です。

(*1)
 開発用ホストとなるWindows PCと、.NET Micro Framework用の開発環境であるVisual Studioは別途必要です。そのほか、汎用のUSBケーブルまたはシリアルケーブルが必要です。

補足資料

「.NET Micro Framework for PMC T-Kernel」の特長

  • 組込み機器を効率よく開発できる.NET Micro Frameworkに、T-Kernelの提供するリアルタイムOSの機能が付加され、高性能なリアルタイム処理が可能となります(*2)。
  • .NET Micro Framework上のプログラムから、T-Kernel用のデバイスドライバを呼び出して利用できます。リアルタイム性の必要な処理をT-Kernelのデバイスドライバとして実装しておくことにより、.NET Micro Framework上で動作するアプリケーションとの連携動作が可能となります。
  • .NET Micro Frameworkの動作する組込み機器上で、T-Kernel用のデバイスドライバ、ミドルウェアなどのプログラム資産を活用できます。
  • T-Kernelの動作する組込み機器の制御用アプリケーションを、C#を用いて、Visual Studioで開発、デバッグすることができます。
  • 「.NET Micro Framework for PMC T-Kernel評価キット」では、ARMコア搭載ボードのほか、開発に必要なハードウェアとソフトウェアをすべて含めてワンパッケージ化しており、ご購入後すぐに組込み機器の実機向けのプログラム開発を始めることができます(*1)。
  • 周辺機器については、お客様のご要望に応じて個別に対応いたします。
(*2)
 リアルタイムOS「PMC T-Kernel」のタスクの切り替え時間(ディスパッチ時間)はμs程度もしくはそれ以下のオーダーとなっており、WindowsやLinuxなど情報系OSのリアルタイム性能を遥かに凌駕します。例えばT-Kernelによるタスク起動とディスパッチを行った場合のシステムコール処理時間の実測値は、ARM11コア 500MHzの場合で1.2μs、 Intel Core2 Quad Q9300 2.5GHzの場合で0.4μsです。(実際の処理時間はハードウェア環境や各種の条件などに依存して 変動します)

「.NET Micro Framework for PMC T-Kernel」の主な機能(*3)

  • スレッドなどの基本機能
  • デバッグプリント
  • ファイルシステム
  • TCP/IPネットワーク
  • T-Kernel用デバイスドライバの呼び出し(*4)
(*3)
 画面制御やGUIの機能は利用できません。
(*4)
 C#のプログラムからハードウェアを操作する際は、直接操作するのではなく、T-Kernel用デバイスドライバを呼び出して、それを経由して操作する形になります。

評価キット付属ボードのハードウェア仕様

CPU ルネサス エレクトロニクス EMMA Mobile1-D (ARM11コア, 500MHz)
Flash ROM 32MB (NOR Flash)
RAM 64MB (CPU内蔵)
eMMC 4GB, 二次記憶として利用可能
JTAG-ICE I/F 京都マイクロコンピュータ PARTNER-Jet用
電源 DC +5V、ACアダプタから供給
寸法 CPUボード: 137mm×75mm (突起物を除く)
RoHS指令 対応
入出力I/F
microSDスロット 1スロット
LAN 10/100BASE-T、RJ-45コネクタ
USB-OTG(*5) USB 2.0対応、mini-ABコネクタ
USB-UART(*6) mini-Bコネクタ
シリアル(*7)(*8)×2 RS-232またはCMOSレベルを切替
絶縁入出力(*8)×4ビット フォト・カプラにより絶縁したGPIO
Sound(*8) マイク入力、スピーカ出力
HLS(*8) ハイスピード・リンク・システム
その他 チップLED×4、プッシュSW×4、照度センサー、温度センサー
(*5)
 マウス、キーボード、USBマスストレージなどのUSB機器の接続には、USB mini-Aコネクタを持ったUSBホストケーブルが必要です。なお、付属のデバイスドライバではUSB-Hostの機能が利用可能で、USB-Functionとしての機能はサポートしておりません。
(*6)
 デバッグ用コンソールとして、開発用PCのUSBに接続して利用可能です。
(*7)
 DSUB-9Pコネクタ(シリアル用)が1本のみ付属します。
(*8)
 コネクタは、CPUボード上のボックス型基板コネクタを使用します。

ボード写真

T-Kernelについて

T-Kernelとは、組込み機器の開発の効率化やユビキタス・コンピューティング環境の実現を目的に活発な活動を続けるTRONプロジェクトで仕様が標準化された次世代のリアルタイムOSです。30年の実績を持つITRONのリアルタイム性を保ちつつ、機能の追加や標準化の範囲の拡大を行い、高機能な組込み機器の制御用ソフトウェアを効率よく開発できるように設計されています。T-Kernelは、業務用端末やカーナビ、プリンタなど、既に多くの機器に採用されています。T-Kernelの最新版が2011年5月に公開されたT-Kernel 2.0です。

参考情報、リンク集


  • TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
  • TRON、T-Kernelは、コンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品を指すものではありません。
  • その他商品名等は各社の商標や登録商標です。
  • 本資料に記載された製品の仕様、外観イメージ、価格などは、発表日現在のものです。最終的に販売される製品では、変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。ご購入の際は、最新情報をご確認ください。

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    T-Kernel 2.0ロゴ