「PMC T-Kernel 2/x86」は、産業用パソコンで動作するリアルタイムOSとして、様々な特徴を持っています。
「PMC T-Kernel 2/x86」は純粋なリアルタイムOSをカーネルとして利用しているため、ディスパッチ時間が1μsまたはそれ未満のオーダー(※1)のトップクラスのリアルタイム性能を持っており、WindowsやLinuxなど情報系OSのリアルタイム性能を遥かに凌駕します。産業用パソコンを利用したFA向けの制御装置や監視装置など、ハードリアルタイム処理が求められる用途に最適です。
※1 実測値例: Intel Core2 Quad Q9300 2.5GHz 上でT-Kernelによるタスク起動 (ディスパッチ込み) が 0.40 μs
Windows上のブラウザソフトをはじめとした便利なアプリケーションと、T-Kernelのハードリアルタイム処理を同時に使いたいケースもあります。そのような場合は、ハイパーバイザー(※2)を利用して1台のパソコンで「PMC T-Kernel 2/x86」とWindowsを同時に実行することができます。2つOS(※3)を同時に動かすことで、互いの特長を活かした役割分担が可能です。一方、複数のPCで行っていた作業を1台のPCに集約できるので、CPU性能のフル活用、ハードウェアコストの削減、スペースや重量削減、システムの信頼性向上など、数々のメリット生じます。
※2 Real-Time Systems(RTS)社が開発、販売するハイパーバイザー「Real-Time Hypervisor(RTH)」に対応しています。
※3 Windowsの代わりに、LinuxとT-Kernelを同時に動かすこともできます。
T-Kernelは従来の組込み機器で幅広く採用されてきた「ITRON」と互換のAPIを持つリアルタイムOSです。パーソナルメディアでは「PMC T-Kernel 2/x86」を利用して、ITRONで制御していた古いFA機器のシステム更新に伴う置き換え用に、ITRONのプログラム資産の移植の手間を最小限に抑えつつお客様のFA機器を再構築するための製品「I-right/TK」(ITRON Wrapper for T-Kernel)をご提供しています。
オープンソースの画像処理ミドルウェアである「OpenCV (Open Source Computer Vision Library)」を移植した「OpenCV for PMC T-Kernel」や、オープンソースの組み込み機器向けファームウェアである「.NET Micro Framework」を移植した「.NET Micro Framework for PMC T-Kernel」など組込み機器の開発に有用なミドルウェアが利用可能です。
T-KernelはトロンフォーラムからオープンソースのOSとして公開されています。「PMC T-Kernel 2/x86」は、パーソナルメディアにてオープンソース版のT-Kernelを機能強化して、品質保証やサポートサービスを含めて提供する製品版のT-Kernelです。またお客様のご要望に合わせてOS本体の機能強化やカスタマイズが可能です。
PMC T-Kernel 2/x86を用いたシステム構成図
「PMC T-Kernel 2/x86」を、他の産業用パソコン向けOSと比較してみました。OSを選択する際の参考の一つになれば幸いです。なお、以下はOSの一般論としての比較であり、個別の製品等を見た場合には状況の異なる場合があります。
産業用パソコン向けの機能や開発環境、PCとの互換性という面では優位であり、開発効率もよいと言えます。しかしながら、情報系のOSであるためリアルタイム性に劣っており、起動時間が長い、リソース消費量が多いなどの点で、組み込み用途には不向きな面があります。また、マイクロソフト社の製品ですので、オープンソースではなく、台数が多くなった場合はライセンス費用もかかります。
機能は充実しており、開発効率もよいのですが、Windowsと同じく情報系のOSであるためリアルタイム性に劣っています。また、起動時間が長い、リソース消費量が多いなどの問題も同様です。一方、Linuxはオープンソースであり、基本的なライセンス費用はかかりませんが、機器に合わせた移植やチューニングなどのために開発費用やサポート費用がかかったり、技術的なスキルを要する場合があります。Linuxを組込み向けに改造したEmbedded Linuxでは、リアルタイム性やリソース消費量はある程度改善されますが、改造により元のLinuxとは異なる部分ができるので、互換性や開発効率の面ではマイナスになります。
VxWorksなどの商用リアルタイムOSは、その名の通り高いリアルタイム性能を持っており、この点では「PMC T-Kernel 2/x86」やITRONと同等です。一方、商用リアルタイムOSは特定ベンダーの開発したプロプライエタリ(proprietary)な製品であり、T-Kernelのようなオープンソース、オープンシステムではありません。商用リアルタイムOSを採用した場合、他のシステムや製品との混在、他社システムへの移行が難しくなり、ユーザが「囲い込み」をされるという状況になりがちです。このため、ライセンス費用やサポート費用も高額になる場合が多く、デバイスドライバやミドルウェアの供給先も限られます。
ITRONは産業用パソコンでの利用は少ないですが、家電、モバイル機器、AV機器、FA機器などへの採用が多いリアルタイムOSであり、ITRONからの移行を検討している方も多いと思われますので、比較対象として取り上げます。
ITRONのリアルタイム性能は高く、リソース消費量も少ないため、比較的コンパクトな組込み機器での利用に適しています。ただし、ITRONではリアルタイムOSのカーネルのみを標準化しており、ミドルウェアやデバイスドライバは含んでいないため、ベンダー独自のミドルウェアを移植して利用したり、ユーザ自身がミドルウェアの移植や開発を行うというケースが少なくありません。このため、ミドルウェアやデバイスドライバの充実度、その影響による開発効率といった点を比較すると、ITRONでは不十分な場合が多く、「PMC T-Kernel 2/x86」の方が優位といえます。
様々な分野で「PMC T-Kernel 2/x86」を搭載した産業用パソコンやマザーボードが稼働中です。下記はその一例です。
人里離れた遠隔地に設置され、各種の測定情報をセンターへ送信する監視機器に搭載されています。メンテナンスフリーで長時間の連続稼動が必要なため、「PMC T-Kernel 2/x86」の堅牢性、省リソース、ソフトウェア資産の共通化をご評価いただきました。
車両に搭載された各種機器の情報を統括するシステムに採用されています。「PMC T-Kernel 2/x86」のリアルタイム性、省リソースをご評価いただきました。
工場内で稼動する各種工作機械の制御に使用されています。「PMC T-Kernel 2/x86」の堅牢性、リアルタイム性をご評価いただきました。
各種センサーを拡張可能な測定器に搭載されています。「PMC T-Kernel 2/x86」のリアルタイム性、省リソース、ソフトウェア資産の共通化をご評価いただきました。
PMC T-Kernel 2/x86の適用分野
CPU | x86 (互換 CPU も含む) Intel Atom, Core, Pentium, Celeron, AMD Phenom, Athlon, Geode, VIA Edenなど |
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メモリ | 32MB以上 |
BIOS | PC/AT互換の標準的なBIOSが実装されていること |
シリアルポート (RS-232C) |
16650互換 デバッグコンソールにも使用 |
システムディスク | CFカード(TrueIDE)、HDD、USB ストレージに対応。 起動ディスクにも利用 |
USB | USB 1.1/2.0ホストアダプタ(UHCI, OHCI, EHCI
ただし、一部の機種を除く)に対応。 マスストレージクラス機器(HDD, CD-ROM, USBメモリ等)、 HIDクラス機器 (キーボード、マウス)に接続可能 |
USB接続機器 | HIDクラス機器: キーボード、マウス マスストレージクラス機器: HDD、CD-ROM、USBメモリなど |
LAN | 【1000BASE-T対応LANアダプタ】 Intel I210-AT, PRO/1000, i82574L Gigabit Ethernet Controller, Realtek RTL8169など 【10/100BASE-T対応LANアダプタ】 Intel PRO/100, 82562, 3Com 3C900/590, DEC 21140, Realtek RTL8139/8169/8101/8103, VIA VT6102, SiS900, AMD Am79C970/971/972/973/975/976/977/978, NE2000互換など |
ディスプレイ | VESA BIOSが対応していること |
当社にて実施したPMC T-Kernel 2/x86動作確認のレポートをご紹介しています。
「T-Kernel 2/x86無償評価版」は 「T-Kernel 2/x86評価キット」と同等の内容を、 30日間無償で試用できます。ご希望のお客様は、 お申し込み用紙をダウンロードして、必要事項をご記入の上、 当社営業部までお申し込みください。
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標準価格(税別) 90,000円 (税込 99,000円)
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※ご購入については当社営業部までお問い合わせください。
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パーソナルメディア株式会社 営業部