2011年10月14日
パーソナルメディア株式会社
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(T-Engineのウェブサイト)http://www.t-engine4u.com/
Androidの周辺機器をT-Kernel 2.0で開発できる
開発評価キットをパーソナルメディアが新発売
組込みシステムの総合ソリューションを提供するソフトウェアメーカーのパーソナルメディア株式会社(代表取締役:松為彰、本社:東京、電話:03-5759-8305、資本金1,000万円)は、リアルタイムOS「T-Kernel 2.0」を使って「Android Open Accessory」と呼ばれるAndroid用の周辺機器を開発するための開発評価キットを商品化し、「T-Kernel for Android Open Accessory」の名称で2011年10月31日より発売いたします。
スマートフォン向けの標準開発プラットフォームとしてGoogle社が提供するAndroidは、GUI(Graphical User Interface)や高機能な情報処理、アプリケーション管理などの機能が充実しており、携帯電話のみならず、タブレット端末や、情報系の機能を持つ高機能な組込み機器にも採用されています。しかし、AndroidはLinuxをカーネルとしていることや、アプリケーションがJava言語用の仮想マシン上で動作することから、高性能なリアルタイム制御が不得意という問題もあります。
高機能な組込み機器では、一般に、GUIなどのユーザインターフェース処理、データの解析や加工などの情報処理、サーバーやクラウドとの通信処理のほか、機器特有のメカ(機械装置)やハードウェアなどをリアルタイムに制御する処理も必要です。たとえばデジタルカメラの例では、ボタン操作やタッチパネルの処理、撮影した画像の圧縮やファイルへの保存などの処理、PCやプリンタとの通信処理のほか、オートフォーカスや手ぶれ補正のために、レンズの機械的な動きをリアルタイムに制御する処理も必要になります。Androidの場合、このうちのGUI、情報処理、通信処理には向いていますが、最後のリアルタイム制御にはあまり適していません。
この問題は、リアルタイム制御の必要な部分を周辺機器として分離し、その部分をAndroidとは別のサブシステムで構成することにより解決できます。そのための具体的な方法の1つとして、「Android Open Accessory」と呼ばれる周辺機器とAndroid搭載端末との間をUSBで接続するインタフェース仕様(プロトコル)が定められ、Androidのウェブサイトから公開されています。
一方T-Kernelは、オープンソースで高性能な機器組込み用のリアルタイムOSであり、その前身であるITRONも含めて、プリンタやディスク装置など、コンピュータの周辺機器にも多くの採用例があります。本年5月17日には、時間管理機能などを大幅に強化してリアルタイム性能を高めた第二世代のT-Kernel 2.0が公開され、FA向けなどの採用がさらに増えてきました。
この度パーソナルメディアが発売する「T-Kernel for Android Open Accessory」は、リアルタイム制御用OSであるT-Kernel 2.0を用いて、上記のAndroid用周辺機器の開発を行うための開発評価キットです。本製品には、ARM11コアを搭載した開発評価用ボードやT-Kernel 2.0のソフトウェア開発キット(SDK(*1))のほか、Android Open Accessoryの仕様に準拠したUSBドライバや、周辺機器を開発するための入出力ドライバ、サンプルアプリケーションなどが含まれています。本製品付属のUSBドライバが、Android Open Accessoryで定められたプロトコルの処理を自動的に行い、Android搭載端末側とT-Kernelを搭載した周辺機器側との通信路を提供しますので、周辺機器の開発者はAndroid Open Accessoryの仕様を意識する必要がなく、周辺機器やアプリケーションに応じたデータの処理に専念することができます。
本製品の利用により、Androidが苦手とするリアルタイム制御処理をT-Kernelによって補うことが可能となり、AndroidとT-Kernelの双方のメリットを活かした理想的な組込み機器の開発が容易になります。パーソナルメディアでは、今後もT-Kernel 2.0を核とした各種のソフトウェアの開発や製品の提供を通じて、組込み機器の開発効率の向上に貢献していく所存です。
- (*1)
- SDK (Software Development Kit): 開発環境、OS、ミドルウェア、デバイスドライバ、技術ドキュメントなどを含めたプログラム開発用のソフトウェアパッケージです。
写真
- 写真1. 「T-Kernel for Android Open Accessory」のシステム全景 [495Kバイト]
- ※ Android端末は本製品に含まれません。
- 写真2. サンプルアプリケーションの実行画面(Android側) [487Kバイト]
- 写真3. サンプルアプリケーションの実行画面(T-Kernel側) [779Kバイト]
- 写真4. Androidの操作によるボード上のLEDの点灯 [904Kバイト]
- 写真5. ボード上のプッシュスイッチの操作をAndroidの画面に表示 [1.01Mバイト]
図
- 図1. 「T-Kernel for Android Open Accessory」のシステム構成 [156Kバイト]
補足資料
「T-Kernel for Android Open Accessory」の応用例
- Android搭載端末用の各種の周辺機器の開発
- Android搭載端末用のヘルスケア商品(血圧計など)の開発
- Android搭載端末で操作する高機能な組込み機器(デジタルサイネージ、券売機など)の開発
- Android搭載端末で操作可能なAV機器や情報家電の開発
- Android搭載端末で操作可能な住宅やビルの設備機器の開発
- AndroidとT-Kernelを用いた組込みプログラミングの実習用教材
「T-Kernel for Android Open Accessory」の製品ラインナップと標準価格
型番 | 標準価格(税別) | |
---|---|---|
タッチパネルLCD付き | TKADK-U00B0021-02-LCD | 85,000円 |
タッチパネルLCD無し | TKADK-U00B0021-02-CPU | 65,000円 |
- ※
- プログラム開発を行うには、本製品および開発用のWindowsパソコン、Android搭載端末(2.3.4以降または3.1以降)のほかに、microSDカードとUSBケーブルが必要です。
- ※
- 製品付属のハードウェアおよびソフトウェア(T-Kernel 2.0および開発環境など)は、Android Open Accessoryに関連した部分を除き、「T-Kernel 2.0リファレンスキット」と共通のものです。
「T-Kernel for Android Open Accessory」の製品内容
CPUボード + LCDボード + DSUB-9P変換ケーブル(*2) + 金属製フレーム + ACアダプタ |
- ※
- 上記はタッチパネルLCD付きの場合です。タッチパネルLCD無しの場合は、LCDボードと金属製フレームが付属しません。
CPU | ルネサス エレクトロニクス EMMA Mobile1-D (ARM11コア, 500MHz) |
---|---|
Flash ROM | 32MB (NOR Flash) |
RAM | 64MB (CPU内蔵) |
eMMC | 4GB, 二次記憶として利用可能 |
JTAG-ICE I/F | 京都マイクロコンピュータ PARTNER-Jet用 |
電源 | DC +5V、ACアダプタから供給 |
寸法 | CPUボード: 137mm×75mm (突起物を除く) 金属製フレーム: 161mm×87mm (突起物を除く) |
RoHS指令 | 対応 |
入出力I/F | |
microSDスロット | 1スロット |
LAN | 10/100BASE-T、RJ-45コネクタ |
USB-OTG(*3) | USB 2,0対応、mini-ABコネクタ |
USB-UART(*4) | mini-Bコネクタ |
シリアル(*2)(*5)×2 | RS-232またはCMOSレベルを切替 |
絶縁入出力(*5)×4ビット | フォト・カプラにより絶縁したGPIO |
Sound(*5) | マイク入力、スピーカ出力 |
HLS(*5) | ハイスピード・リンク・システム |
その他 | チップLED×4、プッシュSW×4、 照度センサー、温度センサー、 カメラモジュール(オプション) |
LCD | 4インチ、TFTカラー、800×480ドット |
---|---|
タッチパネル | 抵抗膜式 |
- (*2)
- DSUB-9Pコネクタへの変換ケーブル(シリアル用)が1本のみ付属します。
- (*3)
- マウス、キーボード、USBマスストレージなどのUSB機器の接続には、USB mini-Aコネクタを持ったUSBケーブルが必要です。なお、付属のデバイスドライバではUSB-Hostの機能が利用可能で、USB-Functionとしての機能はサポートしておりません。
- (*4)
- デバッグ用コンソールとして、開発用PCのUSBに接続して利用可能です。
- (*5)
- コネクタは、CPUボード上のボックス型基板コネクタを使用します。
ターゲット用 | |
---|---|
T-Monitor | PMC T-Monitor |
T-Kernel | PMC T-Kernel 2.0 |
T-Kernel Extension | PMC T-Kernel Extension (プロセス管理、ファイル管理など) |
デバイスドライバ | microSD、LAN、USB 2.0(ホスト用)、シリアル、RTC、 KB/PD、スクリーン(LCD)、タッチパネル、 USB-HIDクラス、USB-マスストレージクラスなど |
ミドルウェアなど | PMC T-Shell (GUIミドルウェア)、マイクロスクリプト (ビジュアル言語)、CLIなどの開発ツール、ユーティリティなど |
Android Open Accessory関連 | Androidアクセサリプロトコル対応のUSBドライバ、汎用DIOデバイスドライバ、T-Kernel用サンプルアプリケーション |
開発ホスト(Windows)用(*6) | |
SDK | Eclipse for PMC T-Kernel ・GNU C/C++コンパイラ(T-Kernel対応済み) ・GDB(ソースレベルデバッガ) ・ANSI Cライブラリ、T-Kernel関連ライブラリ、サンプルソースなど |
Android搭載端末(*7)用 | |
Android Open Accessory関連 | Android用サンプルアプリケーション |
- (*6)
- 開発ホスト(Windows)の環境は、Windows XP SP3、Windows Vista(32ビット版のみ対応、64ビット版は不可) および Windows 7 (32ビット版/64ビット版)で動作を確認しています。なお、GUIを使わないGNU開発環境は Linux 上でも動作します。Ubuntu 8.04 で動作を確認しています。
- (*7)
- Androidのバージョンは2.3.4以降または3.1以降が必要です。Nexus S で動作を確認しています。
パーソナルメディア株式会社とT-Engineプロジェクト
パーソナルメディア株式会社は、組込み機器のためのオープン開発プラットフォームであるT-Engineプロジェクトに積極的に参加し、開発から技術サポート、販売から出版まで、幅広い事業を展開しています。具体的には、「PMC T-Kernel」のポーティングやチューニング、組込み向けデバイスドライバ「PMC T-Drivers」の開発や移植、T-Kernelを搭載した極小マカロン型コンピュータ「Teamacaron®」の開発や販売などを行い、その実績は多くのお客様に高くご評価いただいております。
また、T-Kernel 2.0ワーキンググループの座長としてT-Engineフォーラムの活動に協力し、T-Kernel 2.0の仕様策定を進めて参りました。その成果をいち早く実装した「T-Kernel 2/x86評価キット」や「T-Kernel 2.0リファレンスキット」などの製品も発表しています。
参考資料
- T-Engineフォーラム
- http://www.t-engine.org/
- パーソナルメディアのT-Engineソリューション
- http://www.t-engine4u.com/
- パーソナルメディアのウェブショップ
- http://www.personal-media.co.jp/webshop/
- TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
- TRON、T-Engine、μT-Engine、T-Monitor、T-Kernelは、コンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品を指すものではありません。
- Teamacaron はパーソナルメディア株式会社の登録商標です。
- その他商品名等は各社の商標や登録商標です。
- 本資料に記載された製品の仕様、外観イメージ、価格などは、発表日現在のものです。最終的に販売される製品では、変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。ご購入の際は、最新情報をご確認ください。