2012年12月11日

パーソナルメディア株式会社
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-29-1 コイズミビル
TEL.03-5759-8305 FAX.03-5759-8306
E-mail:te-sales@personal-media.co.jp
(T-Engineのウェブサイト)http://www.t-engine4u.com/

T-Engineフォーラムの最新ミドルウェアに対応した
動作解析ツール「T2EX用タスクトレーサ」を
パーソナルメディアが新発売

組込みシステムの総合ソリューションを提供するソフトウェアメーカーのパーソナルメディア株式会社(代表取締役:松為彰、本社:東京、電話:03-5759-8305、資本金 1,000万円)は、T-Engineフォーラムから公開される最新のT-Kernel 2.0(*1)用ミドルウェア「T2EX(イーエックス)」(*2)に対応した動作解析ツール「T2EX用タスクトレーサ」を開発し、2013年1月31日より出荷開始いたします。また、12月12日(水)~14日(金)に東京ミッドタウンで開催される「TRONSHOW2013」の当社ブース(ブース番号:B-3)にて、開発成果のデモンストレーションを行います。

組込み機器では、センサーの監視やアクチュエータの制御などといった多数の処理を、並行して同時に行う必要があります。こういった並行処理を分かりやすくプログラミングできるように、T-Kernel 2.0では「タスク」の機能を提供しています。しかし、多数の処理を同時に行うためには、複数のタスクを高速で切り替えながら並行して実行する必要があり、結果としてシステム内部の動作解析やデバッグは難しくなります。そこでパーソナルメディアでは、システム内部のタスクの細かい動きを分かりやすくグラフ化して表示する「T-Kernel用タスクトレーサ」という動作解析ツールを開発し、2009年11月より販売してきました。

このたび発売する「T2EX用タスクトレーサ」は、この「T-Kernel用タスクトレーサ」を大幅に機能拡張し、T-Kernel 2.0の最新ミドルウェア「T2EX」にも対応させたものです。本製品の利用により、T2EXを用いた組込みシステムのプログラムを動作させたままで、実行タスクの遷移やシステムコール発行のログを記録し、その様子をグラフでビジュアルに表示できます。複数のタスクの切り替わり(ディスパッチ)の様子のほか、各タスクの発行したT-Kernel 2.0およびT2EXのシステムコールの発行時刻、引数、戻値なども表示され、T2EX応用システムの内部の動作解析、デバッグ、チューニングなどに威力を発揮します。

「T2EX用タスクトレーサ」は、お客様の機器やハードウェア上で動作するT-Kernel 2.0およびT2EX上に移植してご提供するカスタム対応製品ですが、すぐにお試しいただく場合のために、T-Engineリファレンスボード上で動作する開発評価版もご用意しております。またパーソナルメディアでは、T-Kernel 2.0やT2EX本体の移植作業も承っております。

パーソナルメディアは、今後もT-Kernelを核とした各種のソフトウェアの開発やサービスを通じて、高機能な組込み機器や、さまざまなユビキタス機器の開発に貢献していく所存です。

(*1)
T-Kernelとは、組込み機器の開発の効率化やユビキタス・コンピューティング環境の実現を目的に活発な活動を続けるT-Engineプロジェクトで仕様が標準化された次世代のリアルタイムOSです。30年近い実績を持つITRONのリアルタイム性を保ちつつ、機能の追加や標準化の範囲の拡大を行い、高機能な組込み機器の制御用ソフトウェアを効率よく開発できるように設計されています。T-Kernelは、業務用端末やカーナビ、プリンタなど、既に多くの機器に採用されています。T-Kernelの最新版が2011年5月に公開されたT-Kernel 2.0です。
(*2)
T2EX(T-Kernel 2.0 Extension)とは、リアルタイムOSであるT-Kernel 2.0の軽量性や高速性を活かしつつ、ファイル管理機能やネットワーク通信機能を追加する基本ミドルウェアです。AndroidやLinuxと比較してはるかにコンパクトで省資源であり、ローコストのマイクロコンピュータやメモリの少ない組込みシステムにも搭載できるという特長があります。T2EXの仕様書と実装(ソースコード)は、2012年12月に開催されるTRONSHOW2013に合わせてT-Engineフォーラムより公開されます。T2EXは、デジタル家電やヘルスケア機器を含む広範囲の組込み機器への応用を想定しています。

補足資料

「T2EX用タスクトレーサ」の特長

実行タスクの遷移やシステムコール発行のログをグラフィカルに表示
T-Kernel 2.0上で動作している複数のタスクの切り替わり(ディスパッチ)の様子がグラフで表示され、組込みシステム内部のソフトウェアの動作をビジュアルに把握できます。また、各タスクの発行したT-Kernel 2.0やT2EXのシステムコールの発行時刻、引数、戻値などのログを記録し、これらの情報を合わせて表示することも可能です。組込みシステムの動作解析、デバッグ、チューニングなどを行う際には、タスクトレーサで提供するこれらの情報が役立ちます。
トレース対象プログラムの修正が不要
トレース対象となるタスクのプログラムの修正や再コンパイル、ソースコード等は必要ありません。また、システム起動時から動作しているタスクやデバイスドライバ、ミドルウェア等を後からトレース対象とすることも可能です。このため、最終製品とほぼ同じ状態の下で組込みシステムの実行トレースを行うことができます。
広範囲のプログラムに対応
アプリケーションのタスクのみならず、ミドルウェアやデバイスドライバを構成するタスクの実行トレースも可能です。また、タスクに加えて割込みハンドラのトレースも可能です。
用途に適した複数の表示モードを提供
実際の時間経過をグラフ横軸の単位とする絶対時間表示モードのほか、実行タスクの遷移やシステムコール発行の回数を横軸の単位とするイベント表示モードがあり、グラフの拡大や縮小表示も可能です。また、ログに対してユーザ側で定型的な処理を行う場合に便利な表形式の表示モードもご提供します。
収集するログの選択と豊富な検索機能
実行トレースのログは膨大な量になることが多いため、動作解析したい部分をログの中から素早く見つけ出すには、検索機能が必須です。タスクトレーサでは、特定タスクのディスパッチや特定システムコールの発行などを検索条件とした、ログ内の柔軟な検索が可能です。
お客様の開発したT-Kernel応用システムに移植してご提供
タスクトレーサでは、T-Kernelに標準的に含まれているデバッガサポート機能(T-Kernel/DS)を利用して実行トレースのログを収集します。このため、T-Kernelの応用システムであれば、お客様自身や別のメーカー様により開発されたものも含めて、幅広くタスクトレーサの機能を使うことができます(*3)。タスクトレーサと表示用PCとの通信にはT2EXのネットワーク通信機能を利用していますが、お客様の機器でサポートしている別の通信手段に変更したカスタマイズ版のご提供も可能です。
(*3)
タスクトレーサのカスタマイズあるいは移植作業が必要です。詳細はお問い合わせください。

「T2EX用タスクトレーサ」の製品仕様

トレース対象(実機)の実行環境 T-Kernel 2.0+T2EX
表示用PC Java実行環境とウェブブラウザが動作すること(OS非依存)
実機と表示用PCとの通信方法 TCP/IP(実機のT2EXのネットワーク通信機能を利用)
トレース対象 タスク、割込みハンドラ
複数のプログラムにまたがるトレースも可
収集ログ項目 実行タスクおよび割込みハンドラの遷移(時刻)
システムコールおよび拡張SVCの発行(時刻、引数、戻値)
収集ログの対象となるAPI T-Kernel/OS、T-Kernel/SMのシステムコールおよび拡張SVC(tk_XXX_YYY)
T2EXのファイル管理機能の拡張SVC(fs_XXXX)
T2EXのネットワーク通信機能の拡張SVC(so_YYYY)
*
T-Kernel 2.0の追加機能、64ビット引数のAPIを含む。
*
ライブラリやマクロで実現されるAPIは含まない。
収集ログ選択 実行遷移のみ、システムコール発行(引数含む/含まず)を選択可
ログの表示方法 遷移グラフ形式および表形式
グラフのスケール選択(時間軸/イベント軸)、拡大・縮小、ラベル表示
ログの検索機能 タスク、割込み、システムコール指定による条件検索
その他の機能 収集ログのファイル保存、タスク毎のCPU負荷測定、タスクのサスペンドなど

パーソナルメディア株式会社について

パーソナルメディア株式会社は、組込み機器のためのオープン開発プラットフォームであるT-Engineプロジェクトに積極的に参加し、開発から技術サポート、販売から出版まで、幅広い事業を展開しています。具体的には、「PMC T-Kernel」のポーティングやチューニング、組込み向けデバイスドライバ「PMC T-Drivers」の開発や移植、T-Kernelを搭載した極小マカロン型コンピュータ「Teamacaron」の開発や販売などを行い、その実績は多くのお客様に高くご評価いただいております。

また、T-Kernel 2.0ワーキンググループの座長としてT-Engineフォーラムの活動に協力し、T-Kernel 2.0およびT2EXの仕様策定を進めて参りました。その成果をいち早く実装した「T-Kernel 2/x86評価キット」「T-Kernel 2.0リファレンスキット」などの製品も発売しています。

参考情報、リンク集


  • TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
  • TRON、T-Engine、μT-Engine、T-Monitor、T-Kernel、T2EXは、コンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品を指すものではありません。
  • その他の商品名などは各社の商標または登録商標です。
  • 本資料に記載された製品の仕様、外観イメージ、価格などは、発表日現在のものです。最終的に販売される製品では、変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。ご購入の際は、最新情報をご確認ください。