ソフトウェア開発の手順
ここでは「T-Engine/SH7727開発キット」を例にあげて、開発キットを入手してから、実際にソフトウェア開発を行うまでの手順を紹介します。
GNU開発環境のインストール
開発キットに添付されている CD-ROM から、開発用マシンに開発環境をインストールします。インストールの方法は、付属の「T-Engine/SH7727開発キット GNU開発環境説明書」で説明されています。
具体的には、3つのtarファイルをインストールディレクトリに展開して、環境変数を設定し、サンプルのコンパイルを行って開発環境の動作確認をとる、という簡単なものです。
T-Engine Board とデバッグコンソールの接続
開発キットに付属のシリアルケーブルを使って、デバッグコンソールを接続します。通常は、Linux マシンならば、開発環境に含まれる gterm というターミナルソフト、 Windows マシンならば、TeraTerm を使います。
この状態で、T-Engine Board を ROM ディスクから起動すると、起動時のログがデバッグコンソールに出力されるのが確認できます。
この段階で CLI, IMS, T-Monitorをデバッグコンソールから操作できるため、開発に先立って、これらの開発ツールの習熟や訓練、 T-Monitor, T-Kernel等のソフトウェア構成の把握を行うことができます。
作業用ディスクの準備
T-Engine Board 上のフラッシュメモリは ROM ディスクとして動作するため、開発したソフトウェアを格納するためには、読み書き可能な作業用ディスクを別途用意する必要があります。作業用ディスクとしては、ATA カードや CFカード、または USB Mass Storage Class 仕様準拠の USB ストレージデバイスが使えます。
これらの作業用ディスクは、実際に T-Engine Board に装着し、 T-Engine Board 上の CLI を使って、区画設定、およびフォーマットを行ってから使用します。また、作業用ディスク自体をブートディスクとして作成し、 T-Engine Board の起動を作業用ディスクから行うことも可能です。これらの手順は付属の「T-Engine/SH7727開発キット 取扱説明書」に説明されています。
モニタベースのソフトウェアの作成をする場合
モニタベースのソフトウェアは、T-Kernelの機能を使用せず、ハードウェア上で直接動作するソフトウェアです。MMU を使用せず、モニタで使用している資源以外のすべてのハードウェア資源を利用することができます。
作成したオブジェクトは、モトローラSフォーマット形式に変換して、モニタの Load コマンドや gterm の .load コマンドでメモリ上にロードし、モニタの Go コマンドで実行します。
開発キットにはモニタサービス関数を用いたサンプルが付属しています (T-Monitor 起動時のデバッグ用コンソール画面)。
T-Kernelベースのソフトウェアの作成をする場合
T-Kernelベースのソフトウェアは、 T-Kernelの機能を利用する、デバイスドライバやサブシステムなどのリアルタイムソフトウェアです。 MMU を使用した環境でシステムの共通空間に常駐して動作します。
作成したオブジェクトは、CLI の recv コマンドを利用して、作業用ディスクにいったんファイルとして保存してから、CLI または IMS の lodspg コマンドでロードと実行を行います。
開発キットには、T-Kernel ベースのプログラムとして、画面描画テストプログラム scrtst 、T-Kernel ベースのデバイスドライバとして、clk, console, kbpd, lowkbpd, rs, screen, sysdsk の各ドライバが、サンプルとして付属しています。
これらのうち、kbpd, lowkbpd, rs, screen は実際に ROM ディスクの /SYS に配置され、T-Engine Board を ROM ディスクから起動すると、STARTUP.CMD の記述に従って、IMS により自動的にロードと起動が行われます (clk, console, sysdsk はシステム起動に必須となるため、OS核(KERNEL.SYS)に含まれ、IMSに先立って起動されます)。
scrtst もROM ディスクの /SYS に配置され、デバイスドライバのロードと起動が完了したあとで実行され、LCD 画面に T-Engine のロゴをあしらったテスト画像を描画します(T-Kernel, IMS, cli起動時のデバッグ用コンソール画面)。
プロセスベースのソフトウェアの作成をする場合
プロセスベースのソフトウェアは、T-Kernel Extension 上でプロセスとして仮想メモリ上で動作するソフトウェアです。T-Kernelの機能を直接利用することはできません。一般のアプリケーションソフトウェアやライブラリ相当のミドルウェアのうち、MMU を使用した環境で、ローカル空間にロードして実行するものについては、プロセスベースのソフトウェアとして作成します。
作成したオブジェクトは、CLI の recv コマンドを利用して、作業用ディスクにいったんファイルとして保存してから、CLI または IMS から直接プログラム名を指定してロードと実行を開始します。
開発キットには、プロセスベースのプログラムとして、cardinf, cmp, dd, devlist,m ed, usbinf の各ツール類がサンプルとして付属しています。これらは実際に /SYS/bin に配置され、CLI からコマンド名を指定して実行することができます。
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