2012年3月14日
パーソナルメディア株式会社
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-29-1 コイズミビル
TEL.03-5759-8305 FAX.03-5759-8306
E-mail:te-sales@personal-media.co.jp
(T-Engineのウェブサイト)http://www.t-engine4u.com/
組込み向けハイパーバイザーに対応した
「T-Kernel 2/RTH評価キット」を
パーソナルメディアが新発売
組込みシステムの総合ソリューションを提供するソフトウェアメーカーのパーソナルメディア株式会社(代表取締役:松為彰、本社:東京、電話:03- 5759-8305、資本金 1,000万円)は、2012年3月14日より、株式会社リンクスが国内で販売するハイパーバイザー(*1)「Real-Time Hypervisor(RTH)」のユーザー向けに、次世代リアルタイムOS「T-Kernel 2.0」の機能を提供する「T-Kernel 2/RTH評価キット」を発売いたします。本製品により、組込み向けに高速リアルタイム制御を行うT-Kernel 2.0と、GUIやクラウドとの通信などを行うWindowsとの連携動作が可能となり、T-KernelとWindowsの双方のOSのメリットを活かした高性能かつ高機能な組込みシステムを1台の制御用PCで構築できます。
パーソナルメディアでは、リアルタイムOS「T-Kernel」をx86アーキテクチャに移植し、T-Kernelの最新版に対応した「T-Kernel 2/x86評価キット」として販売しています。x86系のCPUは、パソコンやサーバーなどの用途に加えて、FA向けの制御装置や監視装置、業務用の各種IT機器など、ハイエンドな組込み機器への採用も増えています。
一方、近年増えてきた高性能マルチコアプロセッサのCPU資源を無駄なく活用しながら、複数のOSを1台のPC上で並列稼動する技術がハイパーバイザーであり、リンクスのRTHはこの技術を応用した製品です。RTHの利用により、複数のPCで行っていた作業を1台のPCに集約することができ、CPU性能のフル活用、ハードウェアコストの削減、スペースや重量削減、システムの信頼性向上など、数々のメリットが生じます。特にRTHの場合は、リアルタイムOSのT-Kernelに対してネイティブ環境と同等の応答時間を保証しており、Windows側の動作に問題が生じても、組込み制御に必要なリアルタイム性を損ねることがありません。たとえば、Windows側のアプリケーションの不具合等によってWindowsの動作が止まったり再起動したりすることがあっても、T-Kernelによる制御プログラムは安定動作を続けることができます。
このたびパーソナルメディアが発売する「T-Kernel 2/RTH評価キット」の標準価格は94,500円(本体価格 90,000円)で、パーソナルメディアのウェブショップや流通会社を通じてご購入いただけます。本製品には、T-Kernel 2.0、ファイル管理機能やTCP/IPなどのミドルウェア、デバイスドライバ、開発環境など、開発や評価に必要なソフトウェアがすべて含まれているほか、RTHが提供する仮想ネットワークや共有メモリをT-Kernelから利用できるRTH対応機能が追加されています。本製品による開発評価の終了後、実際の組込み機器の製品化を行う際には、開発用のソフトウェアに加えてサポート契約や製品化ライセンスをパッケージ化した「T-Kernel/x86製品開発パッケージ」をご利用いただけます。
「T-Kernel 2/RTH評価キット」により、FAの生産現場における各種の製造装置の制御や、医療用装置、家電製品、自動車関連製品など、大規模な組込み機器の短期開発が可能となります。パーソナルメディアでは、引き続きリンクスと共同で、T-KernelとRTHに関連したさまざまな商品やサービスを提供することにより、組込み向けソリューションを強力に支援します。
- (*1)
- ハイパーバイザーは、複数のOSを並列稼動させる仮想化技術を実現するために、ハードウェアとOSの間に入って動作する、管理用のプログラムです。ハイパーバイザーで採用している仮想化技術はパーティショニング技術と呼ばれるもので、各ハードウェアデバイスは特定のOSに割り当てられ、各OSが独占的にそのデバイスを使用します。その結果、1つのOSや一部のデバイスの動作に問題を生じても、その問題が他のOSに波及せず、他のOSや他のデバイスは安定動作を続けることができます。
補足資料
「T-Kernel 2/RTH評価キット」の特長
- 組込み機器の次世代リアルタイムOS「T-Kernel 2.0」やT-Kernel用のミドルウェア、デバイスドライバ等が、RTH上ですぐに利用できます。
- T-KernelとWindowsの間では、TCP/IPプロトコルによる同一コンピュータ内の仮想ネットワーク機能などを使って、通信や情報の共有が可能です。
- 各OSの特性を活かしたハイブリッドなシステムを構成できます。たとえば、PLCやモーションなどのリアルタイム制御はT-Kernel 2.0で行い、画面系やデータベースアクセスなどはWindowsで行うといった役割分担ができます。
- 「Eclipse for PMC T-Kernel」が付属しており、GUI統合開発環境Eclipseを使った開発が可能です。
図
- 図1. 「T-Kernel 2/RTH評価キット」のシステム構成例 [213Kバイト]
- 図2. RTH上の Windows と T-Kernel の動作例 [270Kバイト]
表
【ターゲット側ソフトウェア】 | |
---|---|
T-Kernel | PMC T-Kernel 2/x86 |
T-Kernel Extension | PMC T-Kernel Extension (プロセス管理、ファイル管理など) |
デバイスドライバ | システムディスク、USBなど |
ミドルウェア | TCP/IP |
RTH対応 | 仮想ネットワーク、共有メモリへのアクセス機能 |
【ホスト(Windows)側開発環境】 | |
コンパイラ | GNU C/C++コンパイラ (T-Kernel対応済み) |
ライブラリ | 標準 Cライブラリ、標準 C++クラスライブラリ、T-Kernel関連ライブラリ、RTH関連ライブラリなど |
GUI統合開発環境 | Cygwin, Eclipse, Eclipse用T-Kernel開発環境プラグインなど |
その他 | 超漢字V(各種システムコンフィグレーション設定などで利用します。) |
【付属ドキュメント】 | |
マニュアル | 取扱説明書、開発環境説明書、ライブラリ説明書、デバイスドライバ説明書、実装仕様書など |
RTH(Real-time Hypervisor)
「Real-Time Hypervisor(リアルタイム・ハイパーバイザー)」は、複数のOSがIntelマルチコアプロセッサの各CPUコア上で並列同時動作する、組込み向け仮想化ソフトウエアです。「仮想化」という表現を使っていますが、組込み分野に特化しているため、T-Kernelのハードリアルタイム性に一切影響を与えること無く、Windowsなどの汎用OSを、並列稼働することができます。T-KernelなどのリアルタイムOSを搭載したコントローラと、Windowsを搭載したPCで構成される画面操作系の産業用装置を、1台のPCに統合することができ、コスト削減・ケーブル削減・装置コンパクト化・電力消費削減を実現します。
パーソナルメディア株式会社について
パーソナルメディア株式会社は、組込み機器のためのオープン開発プラットフォームであるT-Engineプロジェクトに積極的に参加し、開発から技術サポート、販売から出版まで、幅広い事業を展開しています。具体的には、「PMC T-Kernel」のポーティングやチューニング、組込み向けデバイスドライバ「PMC T-Drivers」の開発や移植、T-Kernelを搭載した極小マカロン型コンピュータ「Teamacaron」の開発や販売などを行い、その実績は多くのお客様に高くご評価いただいております。
また、T-Kernel 2.0ワーキンググループの座長としてT-Engineフォーラムの活動に協力し、T-Kernel 2.0の仕様策定を進めて参りました。その成果をいち早く実装した「T-Kernel 2/x86評価キット」や「T-Kernel 2.0リファレンスキット」などの製品も発表しています。
関連情報
- TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
- TRON、T-Engine、μT-Engine、T-Monitor、T-Kernelは、コンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品を指すものではありません。
- その他商品名等は各社の商標や登録商標です。
- 本資料に記載された製品の仕様、外観イメージ、価格などは、発表日現在のものです。最終的に販売される製品では、変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。ご購入の際は、最新情報をご確認ください。