2009年4月30日

パーソナルメディア株式会社
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-29-1 コイズミビル
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E-mail:te-sales@personal-media.co.jp
(T-Engineのウェブサイト)http://www.t-engine4u.com/

ITRONのプログラムをT-Kernel上で実行できる
「I-right/TK」(ITRON Wrapper for T-Kernel)を新発売

ITRON用の豊富なプログラム資産とT-Kernelの持つ先進機能の連携動作を実現

組込みシステムの総合ソリューションを提供するソフトウェアメーカーのパーソナルメディア株式会社(代表取締役:松為彰、本社:東京、電話:03-5759-8305、資本金 1,000万円)は、これまで組込み向けに開発されてきたITRON用の豊富なプログラム資産を、T-Engineプロジェクトの成果である次世代標準リアルタイムOS「T-Kernel」上で実行するためのITRONラッパー「I-right/TK(アイ・ライト・ティーケー)」の開発に成功し、2009年5月末日より標準価格21,000円(本体価格20,000円)(*1)で発売開始いたします。また、5月13日(水)~15日(金)に東京ビッグサイトで開催される「ESEC2009/第12回 組込みシステム開発技術展」のパーソナルメディアブース(小間No.東45-7)において、本製品のデモンストレーションを行います。

組込み機器のためのオープン開発プラットフォームであるT-Kernelの採用は年々増えておりますが、その一方で、これまでITRONを使ってきたお客様からは、既存のプログラム資産を有効活用したいというご要望も多数いただくようになりました。本製品は、このようなご要望にお応えする形で開発されたもので、ITRONとT-KernelのAPI(Application Program Interface)(*2)の読み替えを行うラッパー(*3)を被せることにより、μITRON4.0のフルセットにほぼ準拠(*4)したAPIをT-Kernel上で実現します。ITRON上で動くアプリケーションタスクと、T-Kernel用のアプリケーションタスク、デバイスドライバやミドルウェア(ファイルシステム、TCP/IPなど)を混在して連携動作ができるため、T-Kernel用のデバイスドライバやミドルウェアを使ってITRON側の機能を拡張したり、ITRON用のプログラムを使ってT-Kernel側の機能を拡張するといった使い方も可能です。

「I-right/TK」(ITRON Wrapper for T-Kernel)は、「T-Engine開発キット」 「Teaboard2/ARM920-MX1」 「Teatouch」 「T-Kernel/x86評価キット」 「T-Kernel/x86製品開発パッケージ」など、当社で発売中のT-Kernel搭載製品上で動作し、これらのソフトウェアやボード上でITRONのプログラムをご利用いただけます。このほか、当社以外のベンダー様やお客様ご自身により移植されたT-Kernel上で動作するカスタマイズ版の「I-right/TK」もご提供いたします。

パーソナルメディアでは、今後もT-Kernelを核とした各種のソフトウェアの開発やサービスを通じて、高機能な組込み機器や、さまざまなユビキタス機器の開発に貢献していく所存です。

(*1)
「T-Engine開発キット」 「Teatouch」 「T-Kernel/x86評価キット」などのT-Kernel搭載製品と同時にご購入いただく場合には期間限定の割引制度があります。また、製品向けにご採用の場合は、ボリュームディスカウントや無制限コピー可能なライセンス販売をいたします。
(*2)
API(Application Program Interface)とは、OSの提供する機能をアプリケーションプログラムから呼び出して利用する際の仕様を定めたものであり、T-Kernelの「システムコール」あるいはμITRON 4.0の「サービスコール」とほぼ同義です。T-KernelのAPIとμITRON 4.0のAPIは、概念的にはほぼ同等ですが、APIの形式や細部は異なります。
(*3)
「ラッパー」とは「包むもの」という意味ですが、この場合は、リアルタイムOSの本体部分であるT-Kernelに対して、それを「包む」ことにより、ちょっとした変換や機能追加を行う付加的なプログラムを表わします。T-Kernelを薄いプログラムで包むことにより、見かけ(API)を少しだけ変えて、ITRONと同じものにするというイメージです。
(*4)
一部に制限事項があります。100%の互換性を保証するものではありません。

補足資料

「I-right/TK」の特長

  • これまで組込み向けに開発されてきたITRON用の豊富なプログラム資産を、最小限の修正により、次世代標準リアルタイムOS「T-Kernel」上で実行できます。また、ITRONに慣れたエンジニアが、T-Kernel上で新規のプログラムを開発する場合にも便利です。
  • ITRONやT-Kernelの持つリアルタイム性が損なわれないように、仮想化ソフトによるエミュレータ方式ではなく、軽量なAPIのラッパー(*3)がT-Kernel上で動作する方式を採用しています。
  • μITRON4.0のフルセットにほぼ準拠(*4)したAPIを、T-Kernel上で提供します。静的APIなど、μITRON 4.0の特長的な機能も利用できます。
  • T-Kernel用の豊富なデバイスドライバやミドルウェアとの連携動作が可能です。たとえば、T-Kernel上で動いているTCP/IPやファイルシステム、グラフィック機能と、既存のITRONのプログラムを組み合わせたシステムを容易に構築できます。
  • 多くのCPU上でITRONのプログラムを実行できます。T-Kernelは、現在市販されている多くの32ビットCPUに対応済みであり、その成果がITRONのプログラムからも利用できます。
  • Eclipseによる開発が可能です。オープンソースのGUI統合開発環境であるEclipseのT-Kernel対応版「Eclipse for PMC T-Kernel」により、ITRON用のアプリケーションも開発できます。
  • 「T-Kernel/x86評価キット」との併用により、PC上の仮想環境でのシミュレーション実行が可能です。組込みシステムのターゲットとなるハードウェアがなくても、x86上で実行可能な「PMC T-Kernel/x86」および仮想化ソフトと本製品を組み合わせることにより、PCのみを使ってITRON用プログラムの開発やデバッグを進めることができます。Windows上で気軽にITRONを実行できるため、リアルタイムOSの教育実習にもご活用いただけます。



パーソナルメディアとT-Engineプロジェクト

パーソナルメディアは、組込み機器のためのオープン開発プラットフォームであるT-Engineプロジェクトに積極的に参加し、開発から技術サポート、販売から出版まで、幅広い事業を展開しています。TRONの25年間の歴史の中でパーソナルメディアが蓄積した高度な技術力とノウハウ、および協力各社との緊密なパートナーシップにより、組込みシステム全般にわたるソリューションをご提供します。

具体的には、リアルタイムOS「PMC T-Kernel」のポーティングやチューニング、組込み向けデバイスドライバ「PMC T-Drivers」の開発や移植、多漢字対応のGUIミドルウェア「PMC T-Shell」や各種プロトコルスタック、ウェブブラウザなどの移植やご提供、技術セミナーや技術サポートなどの業務を中心に、多くのT-Engine 応用製品の開発に関わり、その実績を高くご評価いただいております。また、インテル® Atom™プロセッサなどx86系のプロセッサで動作する「T-Kernel/x86評価キット」やx86用のT-Kernelに製品化ライセンスを含めた「T-Kernel/x86製品開発パッケージ」、安価なT-Engineアプライアンスである「Teaboard2」 「Teatouch」、各種CPUを搭載した開発評価用ボード「T-Engine開発キット」、これらのボード上で動作するデバイスドライバやミドルウェアなど、幅広い組込み向け製品をご提供しております。



参考情報、リンク集


  • TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
  • TRON, BTRON, ITRON, eTRON, T-Engine,μT-Engine, T-Monitor, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品を指すものではありません。
  • I-right(R) はパーソナルメディア株式会社の登録商標です。
  • その他の商品名などは各社の商標または登録商標です。
  • 本資料に記載された製品の仕様、外観イメージ、価格などは、発表日現在のものです。最終的に販売される製品では、変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。ご購入の際は、最新情報をご確認ください。