2009年11月12日
パーソナルメディア株式会社
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-29-1 コイズミビル
TEL.03-5759-8305 FAX.03-5759-8306
E-mail:te-sales@personal-media.co.jp
(T-Engineのウェブサイト)http://www.t-engine4u.com/
組込みシステムのデバッグや学習に役立つ動作解析ツール
「T-Kernel用タスクトレーサ」をパーソナルメディアが開発
組込みシステムの総合ソリューションを提供するソフトウェアメーカーのパーソナルメディア株式会社(代表取締役:松為彰、本社:東京、電話:03-5759-8305、資本金 1,000万円)は、組込みシステムの内部動作をグラフィカルに表示する動作解析ツール「T-Kernel用タスクトレーサ」の開発を完了し、2010年1月12日より本製品を発売いたします。また、11月18日(水)~20日(金)にパシフィコ横浜で開催される「Embedded Technology 2009/組込み総合技術展」の当社ブース(ブース番号:D-19)、および12月9日(水)~11日(金)に東京ミッドタウンで開催される「TRONSHOW2010」の当社ブース(ブース番号:B-1)にて、開発成果のデモンストレーションを行います。
組込みシステムの制御プログラムは、多数のタスクやハンドラが高速で切り替わりながら動作しており、その動きは極めて複雑です。また、外部機器との入出力や他の処理のタイミングに依存して動作するものが多く、一部のプログラムのみを止めるとシステム全体の動作が狂ってしまいます。組込みシステムの動作を解析するには、システム全体を通常通りに動かしたまま、その中のタスクなどの動作を記録していく必要があります。
この度パーソナルメディアが発売する「T-Kernel用タスクトレーサ」は、組込みシステムのプログラムを動作させたままで、実行タスクの遷移やシステムコール発行のログを記録し、その様子をグラフィカルに分かりやすく表示する動作解析ツールです。組込み向けリアルタイムOS「T-Kernel上」(*1)で動作している複数のタスクの切り替わり(ディスパッチ)の様子がグラフで表示され、組込みシステム内部のソフトウェアの動作をビジュアルに把握できます。また、各タスクの実行したシステムコールの発行時刻、引数、戻値などのログを記録し、これらの情報を合わせて表示することも可能です。タスクトレーサの表示するグラフや情報により、組込みシステムの動作解析、デバッグ、チューニングなどを効率よく進めることができます。
「T-Kernel用タスクトレーサ」は、リアルタイムOSの動作の理解や学習にも役立ちます。昨今では組込み技術者の不足や人材育成が業界の課題となっておりますが、今回パーソナルメディアが発売するタスクトレーサは、リアルタイムOSの実践的な学習用ツールとして、組込みシステムの教育や技術者の育成にもご活用いただくことができます。
パーソナルメディアは、今後もT-Kernelを核とした各種のソフトウェアの開発やサービスを通じて、高機能な組込み機器や、さまざまなユビキタス機器の開発に貢献していく所存です。
- (*1)
- T-Kernelとは、組込み機器の開発の効率化やユビキタス・コンピューティング環境の実現を目的に活発な活動を続けるT-Engineプロジェクトで仕様が標準化された次世代のリアルタイムOSです。25年の実績を持つITRONのリアルタイム性を保ちつつ、機能の追加や標準化の範囲の拡大を行い、高機能な組込み機器の制御用ソフトウェアを効率よく開発できるように設計されています。T-Kernelは、業務用端末やカーナビ、プリンタなど、既に多くの機器に採用されています。
補足資料
「T-Kernel用タスクトレーサ」の特長
- 実行状態のタスクの遷移やシステムコール発行のログをグラフィカルに表示
- T-Kernel上で動作している複数のタスクの切り替わり(ディスパッチ)の様子がグラフで表示され、組込みシステム内部のソフトウェアの動作をビジュアルに把握できます。また、各タスクの実行したシステムコールの発行時刻、引数、戻値などのログを記録し、これらの情報を合わせて表示することも可能です。組込みシステムの動作解析、デバッグ、チューニングなどを行う際には、タスクトレーサで提供するこれらの情報が役立ちます。
- トレース対象プログラムや実行環境の修正が不要
- トレース対象となるタスクやプロセスのプログラムの修正や再コンパイル、ソースコード等は必要ありません。また、システム起動時から動作しているタスクやプロセス、デバイスドライバやミドルウェア等を後からトレース対象とすることも可能です。このため、トレースの有無によるシステム起動時の設定変更などを行う必要がなく、最終製品とほぼ同じ状態の下で組込みシステムの実行トレースを行うことができます。
- 割込みハンドラ、タスク、プロセスなど広範囲のプログラムに対応
- T-Kernel上で動くタスクの実行トレースだけではなく、割込みハンドラやT-Kernel Extension上で動くプロセスを含めた複数のプログラムを同時にトレースできます。アプリケーションプログラムはもちろん、拡張SVCハンドラやサブシステムによるミドルウェア、T-Kernel/SMのデバイス管理機能によるデバイスドライバの実行トレースも可能です。
- 用途に適した複数の表示モードを提供
- 実際の時間経過をグラフ横軸の単位とする絶対時間表示モードのほか、実行タスクの遷移やシステムコール発行の回数を横軸の単位とするイベント表示モードがあり、グラフの拡大や縮小表示も可能です。また、ログに対してユーザ側で定型的な処理を行う場合に便利な表形式の表示モードもご提供します。
- 収集するログの選択と豊富な検索機能
- 実行トレースのログは膨大な量になることが多いため、動作解析したい部分をログの中から素早く見つけ出すには、検索機能が必須です。タスクトレーサでは、特定タスクのディスパッチや特定システムコールの発行などを検索条件とした、ログ内の柔軟な検索機能を提供しています。また、トレース中に収集するログの種類をあらかじめ選択できます。たとえば、実行タスク遷移のログのみを収集してシステムコール発行のログは収集しないといった指定が可能です。
- お客様の開発したT-Kernel応用システムへの移植も可能
- タスクトレーサでは、T-Kernelに標準的に含まれているデバッガサポート機能(T-Kernel/DS)を利用して実行トレースのログを収集します。このため、T-Kernelの応用システムであれば、お客様自身や別のメーカー様により開発されたものも含めて、幅広くタスクトレーサの機能を使うことができます(*2)。タスクトレーサと開発用ホストPCとの通信にはLANを使っていますが、シリアルやUSBなど別の通信手段に変更することも可能ですので、LANを持たない組込みシステムでもタスクトレーサの機能をご利用いただけます(*2)。「Teatouch」「Teaboard2/ARM920-MX1」「T-Kernel/x86評価キット」など当社で発売中のT-Kernel搭載製品については、その上ですぐに使えるパッケージソフトウェア版のタスクトレーサをご提供します。
- (*2)
- タスクトレーサのカスタマイズあるいは移植作業が必要です。詳細はお問い合わせください。
T-Kernel用タスクトレーサ 製品仕様
実機OS | T-Kernel (仮想環境も可) |
---|---|
表示用PC | Java実行環境とウェブブラウザが動作すること (OS非依存) |
実機との通信方法 | LAN (カスタマイズによりRS-232C等も可) |
トレース対象 | プロセス、タスク、割込みハンドラ 複数のプログラムにまたがるトレースも可 |
収集ログ項目 | タスク・割込み遷移、システムコール・拡張SVC(時刻・引数・戻値) |
収集ログ選択 | 実行遷移のみ、タスク/プロセスのシステムコール発行(引数含む/含まず)を選択可 |
収集可能なログ数 | 実機の空きメモリ容量に依存
|
ログの表示方法 | 遷移グラフ形式および表形式 グラフのスケール選択(時間軸/イベント軸)、拡大・縮小、ラベル表示 |
ログの検索機能 | タスク、割込み、システムコール指定による条件検索 |
その他の機能 | 収集ログのファイル保存、タスク毎のCPU負荷測定、タスクのサスペンドなど |
図
- 図1. タスクトレーサの実行例(システムコール情報の表示なし) [50.3Kバイト]
- 図2. タスクトレーサの実行例(システムコール情報の表示あり) [50.5Kバイト]
- 図3. 実行トレースログの検索条件の指定 [10.8Kバイト]
標準価格および対応機種
- T-Kernel用タスクトレーサ
- 標準価格 税込 各21,000円(本体価格20,000円)(*3)
- T-Kernel/x86評価キット用、TeatouchおよびTeaboard2/ARM920-MX1用、μTeaboard/ARM7-AT91用
- (*3)
- 2010年3月末まで発売記念キャンペーンを実施します。この期間中、「Teatouch」「T-Kernel/x86評価キット」「Teaboard2/ARM920-MX1」「μTeaboard/ARM7-AT91」を新規にご購入いただいたお客様には、本製品を無償で贈呈いたします。
パーソナルメディアとT-Engineプロジェクト
パーソナルメディアは、組込み機器のためのオープン開発プラットフォームであるT-Engineプロジェクトに積極的に参加し、開発から技術サポート、販売から出版まで、幅広い事業を展開しています。TRONの25年間の歴史の中でパーソナルメディアが蓄積した高度な技術力とノウハウ、および協力各社との緊密なパートナーシップにより、組込みシステム全般にわたるソリューションをご提供します。
具体的には、リアルタイムOS「PMC T-Kernel」のポーティングやチューニング、組込み向けデバイスドライバ「PMC T-Drivers」の開発や移植、多漢字対応のGUIミドルウェア「PMC T-Shell」や各種プロトコルスタック、ウェブブラウザなどの移植やご提供、技術セミナーや技術サポートなどの業務を中心に、多くのT-Engine 応用製品の開発に関わり、その実績を高くご評価いただいております。また、インテル® Atom™プロセッサなどx86系のプロセッサで動作する「T-Kernel/x86評価キット」やx86用のT-Kernelに製品化ライセンスを含めた「T-Kernel/x86製品開発パッケージ」、各種CPUを搭載した開発評価用ボード「T-Engine開発キット」、安価なT-Engineアプライアンスである「Teatouch」 「Teaboard2」 「μTeaboard」、これらのボード上で動作するデバイスドライバやミドルウェア、T-Kernelの上でITRONのAPIを提供する「I-right/TK」など、幅広い組込み向け製品をご提供しております。
参考資料
- T-Engineフォーラム
- http://www.t-engine.org/
- パーソナルメディアのT-Engineソリューション
- http://www.t-engine4u.com/
- TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
- TRON, BTRON, ITRON, eTRON, T-Engine,μT-Engine, T-Monitor, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品を指すものではありません。
- その他の商品名などは各社の商標または登録商標です。
- 本資料に記載された製品の仕様、外観イメージ、価格などは、発表日現在のものです。最終的に販売される製品では、変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。ご購入の際は、最新情報をご確認ください。