2009年12月7日

パーソナルメディア株式会社
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-29-1 コイズミビル
TEL.03-5759-8305 FAX.03-5759-8306
E-mail:te-sales@personal-media.co.jp
(T-Engineのウェブサイト)http://www.t-engine4u.com/

インテリジェント組込み機器の短期開発に最適な
極小マカロン型コンピュータ
「Teamacaron」をパーソナルメディアが発売

組込みシステムの総合ソリューションを提供するソフトウェアメーカーのパーソナルメディア株式会社(代表取締役:松為彰、本社:東京、電話:03-5759-8305、資本金 1,000万円)は、組込み向け次世代リアルタイムOS「T-Kernel(*1)」を搭載した極小薄型制御用コンピュータ「Teamacaron(ティーマカロン)」の開発に成功し、2010年春より出荷を開始いたします。また、12月9日(水)~11日(金)に東京ミッドタウンで開催される「TRONSHOW2010」の当社ブース(ブース番号:B-1)にて、本製品のデモンストレーションを行います。

組込み機器を制御するコンピュータにはリアルタイム動作と安定性が要求されますが、最近ではこれに加えて、製品の競争力を高めるために、高度な情報処理機能を求められるケースも増えています。たとえば、従来の組込み機器を人間のジェスチャで操作可能としたり、防犯用途の組込み機器に顔認証を組み合わせてセキュリティを強化したりしようとすれば、組込み制御機能に加えて画像認識の機能も必要となります。こういった例に見られるように、組込み機器のメーカーは、シェア拡大や新規需要開拓のため、高度な情報処理技術を応用して製品の付加価値を高めようとしています。

しかしながら、高度な情報処理機能を持った組込み機器を開発するには、高性能CPUなどのハードウェアはもちろん、リアルタイムOSやデバイスドライバ、ネットワークやGUIなどの基本ミドルウェア、画像認識などの用途に応じた高機能なミドルウェア、ソフトウェアの開発環境なども必要であり、これらの全てを短期間に開発することは困難です。WindowsやLinuxなど既存の情報系の汎用OSを搭載したPCを利用する方法も考えられますが、ハードウェア選択の自由度が狭まるほか、機器制御のリアルタイム性に問題が残ります。

この度パーソナルメディアが開発した「Teamacaron」は、上記のような要求にお応えし、リアルタイム制御と高度な情報処理を両立させた組込み機器を短期間で開発可能とする超小型の組込み制御用コンピュータです。「Teamacaron」は、ARM11コアのCPU、コンパクトで高性能なリアルタイムOS「T-Kernel」に加えて、プロセス管理やファイル管理を行う「T-Kernel Extension」、ネットワーク機能を実現する「TCP/IP」、GUI機能を実現する「PMC T-Shell」などの豊富なミドルウェアを搭載しており、WindowsやLinuxに相当する高度な情報処理も容易に実現できます。また、Eclipseベースの統合開発環境が付属しており、組込み制御用のデバイスドライバやアプリケーションを効率よく開発、デバッグすることができます。

「Teamacaron」では、小型の機器への組込みを考慮し、場所を取らない50mm角の半開放型パッケージを採用しています。基板を覆う上下のカバーはピンクなどに着色されており(*2)、色や大きさがお菓子のマカロンを連想させることから、「マカロン型コンピュータ」の愛称があります。RGBモニタ出力、LAN、USB、microSDカード、シリアル(2ch)などの入出力I/Fを備えており、各種の機器制御に利用できるほか、液晶モニタ等のPC用周辺機器にも接続できます。USB(*3)には、マウスやキーボード、USBメモリはもちろん、USBカメラやRFIDタグのリーダ(*4)を接続することも可能であり、RFIDタグや非接触ICカードを使ったユビキタス応用システムの試作や開発、カメラに画像認識ソフトを組み合わせたAR(Augumented Reality,強化現実)システムの試作や開発など、アイデア次第で多様な用途にご活用いただけます。

「Teamacaron」は、2004年に発売して大好評をいただいた超小型のキューブ型コンピュータ「Teacube/VR5701評価キット」のコンセプトを継承しつつ、より省電力化された最新のLSIテクノロジを用いて、これを進化させた製品です。インテリジェントな組込み機器の試作やプロトタイプの開発にご利用いただけるほか、「Teamacaron」本体をそのまま最終製品に組み込んでご利用いただくこともできます。さらに、お客様の開発する機器に合わせて「Teamacaron」のハードウェアやソフトウェアをカスタマイズし、お客様独自の多彩なユビキタス機器へと展開させていくことも可能です。

パーソナルメディアは、今後もT-Kernelを核とした各種のソフトウェアの開発やサービスを通じて、高機能な組込み機器や、さまざまなユビキタス機器の開発に貢献していく所存です。

(*1)
T-Kernelとは、組込み機器の開発の効率化やユビキタス・コンピューティング環境の実現を目的に活発な活動を続けるT-Engineプロジェクトで仕様が標準化された次世代のリアルタイムOSです。25年の実績を持つITRONのリアルタイム性を保ちつつ、機能の追加や標準化の範囲の拡大を行い、高機能な組込み機器の制御用ソフトウェアを効率よく開発できるように設計されています。T-Kernelは、業務用端末やカーナビ、プリンタなど、既に多くの機器に採用されています。
(*2)
Teamacaronの販売時の色は未定です。ご購入時には、最新情報をご確認ください。
(*3)
TeamacaronのUSBは1ポートですので、複数のUSB機器を同時に接続するには、USBハブを併用する必要があります。
(*4)
Teamacaronのオプションソフトウェアとして「マルチRFIDドライバ for T-Kernel」をご提供します。

写真

表1.「Teamacaron」のハードウェア仕様
CPU NECエレクトロニクスEMMA Mobile™ 1-D (ARM11コア)
RAM 64MB
入出力I/F RGBモニタ出力、LAN、USB、microSDカード、シリアル(2ch)など
サイズ 50mm×50mm×16mm (カバー外寸)
52mm×57mm×22mm (コネクタ突起部を含む)
電源 ACアダプタ付属

表2.「Teamacaron」のソフトウェア仕様
ターゲット用
(標準添付)
PMC T-Monitor、PMC T-Kernel、PMC T-Kernel Extension、
各種デバイスドライバ、TCP/IP、PMC T-Shell(GUIミドルウェア)、
マイクロスクリプト(ビジュアル言語)、各種ユーティリティなど
ターゲット用
(オプション)
基本文章編集(ワープロソフト)、基本図形編集(図形編集ソフト)、
基本ブラウザ(HTMLのブラウザ)、かな漢字変換、多漢字フォント、
動画再生ソフト、マルチRFIDドライバ for T-Kernel、
I-right/TK(ITRONラッパー)、T-Kernel用タスクトレーサ
開発ホスト用 Eclipse for PMC T-Kernel(GUI統合開発環境)、Cygwin、
GNU C/C++コンパイラ、標準Cライブラリ、T-Kernel関連ライブラリ、
サンプルソースなど
ターゲット用のオプションソフトウェアは後日提供予定です。
表3.「Teamacaron」の応用例
  • キオスク端末
  • デジタルサイネージ
  • 各種モニタ装置
  • ライン監視用機器
  • インテリジェントカメラ
  • 画像処理エンジン
  • 新コンセプトの組込み機器
  • ユビキタス機器の試作開発

補足資料

パーソナルメディアとT-Engineプロジェクト

パーソナルメディアは、組込み機器のためのオープン開発プラットフォームであるT-Engineプロジェクトに積極的に参加し、開発から技術サポート、販売から出版まで、幅広い事業を展開しています。TRONの25年間の歴史の中でパーソナルメディアが蓄積した高度な技術力とノウハウ、および協力各社との緊密なパートナーシップにより、組込みシステム全般にわたるソリューションをご提供します。

具体的には、リアルタイムOS「PMC T-Kernel」のポーティングやチューニング、組込み向けデバイスドライバ「PMC T-Drivers」の開発や移植、多漢字対応のGUIミドルウェア「PMC T-Shell」や各種プロトコルスタック、ウェブブラウザなどの移植やご提供、技術セミナーや技術サポートなどの業務を中心に、多くのT-Engine応用製品の開発に関わり、その実績を高くご評価いただいております。また、インテル® Atom™などx86系のプロセッサで動作する「T-Kernel/x86評価キット」やx86用のT-Kernelに製品化ライセンスを含めた「T-Kernel/x86製品開発パッケージ」、各種CPUを搭載した開発評価用ボード「T-Engine開発キット」、安価なT-Engineアプライアンスである「Teatouch」 「Teaboard2」 「μTeaboard」、これらのボード上で動作するデバイスドライバやミドルウェア、T-Kernelの上でITRONのAPIを提供する「I-right/TK」、組込みシステムの動作解析ツール「T-Kernel用タスクトレーサ」など、幅広い組込み向け製品をご提供しております。

参考資料


  • TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
  • TRON, BTRON, ITRON, eTRON, T-Engine,μT-Engine, T-Monitor, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品を指すものではありません。
  • EMMA Mobile は、NECエレクトロニクス株式会社の日本、米国およびその他の国における商標です。
  • その他の商品名などは各社の商標または登録商標です。
  • 本資料に記載された製品の仕様、外観イメージ、価格などは、発表日現在のものです。最終的に販売される製品では、変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。ご購入の際は、最新情報をご確認ください。