FM3 USBスティックボードにおけるμT-Kernelの利用方法

2014年12月17日

本文書は、パーソナルメディアから販売している「FM3 USBスティックボード」で、μT-Kernel 2.0またはμT-Kernel 1.0を利用するための手順になります。FM3 USBスティックボードで、μT-Kernelを利用する際の参考にしてください。

ご注意

「FM3 USBスティックボードにおけるμT-Kernelの利用方法」の文書は、ユーザーの方の便宜を図るために作成しています。
以下の内容をご理解いただいた上、個人の責任のもとでご利用ください。

  1. 「FM3 USBスティックボードにおけるμT-Kernelの利用方法」に関しては、パーソナルメディア株式会社のサポート対象外とさせていただきます。「FM3 USBスティックボードにおけるμT-Kernelの利用方法」に関するお問い合わせはいっさいお受けすることはできません。

  2. 「FM3 USBスティックボードにおけるμT-Kernelの利用方法」の動作の保証はいたしません。利用者ご自身の責任でお使いください。

  3. 「FM3 USBスティックボードにおけるμT-Kernelの利用方法」の利用の結果生じた直接的あるいは間接的な障害、損害、その他いかなる事態にも、パーソナルメディア株式会社はいっさい保証の義務を負いません。ご承知おきください。

FM3 USBスティックボードのセットアップ

FM3 USBスティックボードのセットアップは、スパンションのウェブサイトで公開している「SK-FM3-48PMC-USBSTICKセットアップガイド」の手順通り行う。

注意
以下の点がSK-FM3-48PMC-USBSTICKセットアップガイド(日本語)とは異なっていた。

  • P.20

    変更前
    "Fujitsu Semiconductor Europe"→"OpenOCD GUI"→"Install Driver"

    変更後
    "Fujitsu"→"Utilities"→"OpenOCD GUI"→"Install Driver"

    ただし、Install Driverのインストール中にエラーでインストーラーが強制終了してしまう(μT-Kernelの利用には支障はない)。
  • P.28-P.32
    USBファンクション動作確認は、手順通り動作せず確認することができなかった。
    なお、Windows XPの場合は、手順通り正常に動作した。

μT-Kernelのビルド

Cygwinのセットアップ

Cygwinのダウンロード

手順

  1. Cygwinのウェブサイトから「setup-x86.exe」(32-bit installation)をダウンロードする。
  2. ダウンロードした「setup-x86.exe」をダブルクリックする。
  3. Cygwinのインストーラーが起動するので、[次へ]をクリックする。

    Cygwinインストーラ起動


  4. 「Choose A Download Source」から「Download Without Installing」をクリックし、[次へ]をクリックする。

    「Download Without Installing」の選択


  5. 「Select Local Package Directory」から[次へ]をクリックする。

    [次へ]をクリック


  6. 「Select Your Internet Connection」から「Direct Connection」が選択されているのを確認し、[次へ]をクリックする。

    「Direct Connection」の選択


  7. 「Choose A Download Site」からダウンロード先を選択し、[次へ]をクリックする。

    ダウンロード先の選択


  8. 「Select Packages」から「All Default」の「Default」をクリックして「All Install」の状態にし、[次へ]をクリックする。
    注意:Cygwinのダウンロードは、選択するオプションによって、ディスク容量を多く使う場合があります。インストール先のハードディスクの空き容量等にご注意ください。

    「All Install」の状態


    この際、「Setup Alert」が表示された場合は、[OK]をクリックする。

    「Setup Alert」の表示


  9. 「Resolving Dependencies」が表示された場合は、[次へ]をクリックする。

    [次へ]をクリック


  10. Cygwinのダウンロードが始まる。

    Cygwinのダウンロード


  11. 「Installation Complete」から[完了]をクリックする。

    [完了]をクリック


Cygwinのインストール

手順

  1. 再度ダウンロードした「setup-x86.exe」をダブルクリックする。
  2. Cygwinのインストーラーが起動するので、[次へ]をクリックする。

    Cygwinインストーラ起動


  3. 「Choose A Download Source」から「Install from Local Directory」をクリックし、[次へ]をクリックする。

    「Install from Local Directory」の選択


  4. 「Select Root Install Directory」から「Root Directory」が「C:\cygwin」、「Install For」が「All Users(RECOMMENDED)」になっているのを確認し、[次へ]をクリックする。

    「Root Directory」の設定


  5. 「Select Local Package Directory」から[次へ]をクリックする。

    [次へ]をクリック


  6. 「Select Packages」から「All Default」の「Default」をクリックして「All Install」の状態にし、[次へ]をクリックする。
    注意:Cygwinのインストールは、選択するオプションによって、ディスク容量を多く使う場合があります。インストール先のハードディスクの空き容量等にご注意ください。

    「All Install」の状態


  7. 「Resolving Dependencies」が表示された場合は、[次へ]をクリックする。

    [次へ]をクリック


  8. Cygwinのインストールが始まる。

    Cygwinのインストール


  9. 「Create Icons」から「Create icon on Desktop」および「Add icon to Start Menu」のチェックをオンにし、[完了]をクリックする。

    [完了]をクリック


Cygwinの環境設定

手順

  1. デスクトップにあるCygwinのアイコンをダブルクリックする。
  2. Cygwinのコンソールから、以下のコマンドを入力し、/usr/local/binにperlのシンボリックリンクを生成する。


    $ cd /usr/local/bin
    $ ln -s /usr/bin/perl

μT-Kernelのセットアップ

μT-Kernel Software Packageのダウンロードおよびファイルの展開

手順

  1. T-Engineフォーラムのウェブサイトから以下のパッケージをダウンロードする。
  2. ダウンロードした zip ファイルをクリックし、反転状態にする。

    zip ファイルをクリック


  3. マウスの右ボタンをクリックし、メニューから[すべて展開]をクリックする。

    [すべて展開]をクリック


  4. 「圧縮(zip形式)フォルダーの展開」ウィザードから[展開]をクリックする。

    [展開]をクリック


  5. 「uT-Kernel2.0」または「uT-Kernel」フォルダーが表示される。

    「uT-Kernel」フォルダーの表示


  6. 「uT-Kernel2.0」または「uT-Kernel」フォルダーをダブルクリックする。
  7. μT-Kernel Software Package関連のフォルダーやファイルが表示される。

    μT-Kernel Software Package関連のフォルダーやファイルの表示


Cortex-M3用GNUツールのインストール

手順

  1. 「uT-Kernel2.0」または「uT-Kernel」-[develop]の順にフォルダーをダブルクリックする。
  2. 「develop」フォルダー内にある「devenv_cortex-m3.tgz」を「C:\cygwin\usr\local」内にエクスプローラーでコピーする。

    手順
    1. 「devenv_cortex-m3.tgz」をクリックする。

      「devenv_cortex-m3.tgz」をクリック


    2. マウスの右ボタンをクリックし、メニューから[コピー]をクリックする。

      メニューから[コピー]をクリック


    3. [スタート]-[コンピューター]をクリックする。
    4. [Cドライブ]をダブルクリックする。
    5. 「cygwin」をダブルクリックする。
    6. 「usr」をダブルクリックする。
    7. 「local」をダブルクリックする。
    8. マウスの右ボタンをクリックし、メニューから[貼り付け]をクリックする。

      メニューから[貼り付け]をクリック


    9. devenv_cortex-m3.tgzが、C:\cygwin\usr\local内に貼り付けられる。

      devenv_cortex-m3.tgzの貼り付け


  3. デスクトップにあるCygwinのアイコンをダブルクリックする。
  4. Cygwinのコンソールから、以下のコマンドを入力し、Cortex-M3用GNUツールを展開する。


    $ cd /usr/local
    $ tar xzf devenv_cortex-m3.tgz

  5. C:\cygwin\home\[USER_NAME]内にある「.bashrc」をテキストエディターで開き、Cortex-M3用GNUツールの環境変数を追加し、ファイルを保存する。
    注意:[USER_NAME]は、Windowsにログオンした際の名前になる。


    export BD=/usr/local/te/utkernel_source
    export GNU_BD=/usr/local/cortex-m3/tool/Cygwin-i686
    export GNUARM_2=$GNU_BD/arm-none-eabi

  6. Cygwinのコンソールから、以下のコマンドを入力し、μT-Kernelをインストールするディレクトリを作成する。


    $ cd /usr/local
    $ mkdir te

  7. Cygwinのコンソールから、「exit」と入力し、Cygwinを終了させる。

μT-Kernelのソースコードの展開とビルド

手順

  1. 「uT-Kernel2.0」または「uT-Kernel」-[srcpkg]の順にフォルダーをダブルクリックする。
  2. 「srcpkg」フォルダー内にある「utkernel.2.00.00.tar.gz」または「utkernel.1.01.02.tar.gz」を「C:\cygwin\usr\local\te」内にエクスプローラーでコピーする。

    手順
    1. 「utkernel.2.00.00.tar.gz」または「utkernel.1.01.02.tar.gz」をクリックする。

      「utkernel.1.01.02.tar.gz」をクリック


    2. マウスの右ボタンをクリックし、メニューから[コピー]をクリックする。

      メニューから[コピー]をクリック


    3. [スタート]-[コンピューター]をクリックする。
    4. [Cドライブ]をダブルクリックする。
    5. 「cygwin」をダブルクリックする。
    6. 「usr」をダブルクリックする。
    7. 「local」をダブルクリックする。
    8. 「te」をダブルクリックする。
    9. マウスの右ボタンをクリックし、メニューから[貼り付け]をクリックする。

      メニューから[貼り付け]をクリック


    10. 「utkernel.2.00.00.tar.gz」または「utkernel.1.01.02.tar.gz」が、C:\cygwin\usr\local\te内に貼り付けられる。

      utkernel.1.01.02.tar.gzの貼り付け


  3. デスクトップにあるCygwinのアイコンをダブルクリックする。
  4. Cygwinのコンソールから、以下のコマンドを入力し、μT-Kernelのソースコードを展開する。


    $ cd /usr/local/te
    $ tar xzf utkernel.2.00.00.tar.gz

  5. Cygwinのコンソールから、以下のコマンドを入力し、μT-Kernelをビルドする。


    $ cd /usr/local/te/utkernel_source/kernel/sysmain/build/app_mb9af312k
    $ make

  6. 問題がなければ、μT-Kernelのロードモジュール(kernel-rom.mot)が生成される。

μT-KernelをフラッシュROMに書き込む

手順

  1. FM3 USBスティックボードで、「PROG」モードになるようにスイッチを切り替える。
  2. FM3 USBスティックボードをPCのUSBポートに直接接続する。
  3. 自動的にCOMポートが割り当てられるので、デバイスマネージャーの「ポート(COMとLPT)」欄で、確認しておく。
    正常にFM3 USBスティックボードがPCに認識されていれば「USBVCOM(COMx)」(「x」の番号は環境で変化する)と表示される。

    例:USBVCOM(COM9)の場合

    COMポートの割り当て


  4. [スタート]-[すべてのプログラム]-[FUJITSU USB DIRECT Programmer]の「USBDirectct」をクリックする。
  5. FLASH USB DIRECT Programmerが起動する。
  6. 以下の設定を行う。
    • Target MCU:MB9AF312K
    • Hex File:kernel-rom.mot
    • COM(1-255):手順3で確認したCOMポートの番号

    設定画面例

    SELECTの設定例



    Hex Fileの選択の手順

    手順

    1. [Open]をクリックする。

      [Open]をクリック


    2. 「ファイルを開く」から「ファイルの場所」で「kernel-rom.mot」のあるフォルダー(ディレクトリ)を選択する。

      例:C:\cygwin\usr\local\te\utkernel_source\kernel\sysmain\build\app_mb9af312k の場合

      「kernel-rom.mot」のあるフォルダー(ディレクトリ)の選択


    3. ファイルの種類で「all files(*.*)」を選択する。

      「all files(*.*)」の選択


    4. 「kernel-rom.mot」をクリックする。

      「kernel-rom.mot」をクリック


    5. [開く]をクリックする。

      [開く]をクリック


  7. [Full Operation(D+E+B+P)]をクリックする。

    [Full Operation(D+E+B+P)]をクリック


  8. 「Please reset the microcontroller on userboard. Then push OK button.」と表示されるので、FM3 USBスティックボードのRESETスイッチを押し、[OK]をクリックする。

    [OK]をクリック


  9. 問題がなければ、μT-KernelがフラッシュROMに書き込まれ、「Full Operation OK!」と表示されるので、[OK]をクリックする。
    注意:画面では、OKの「K」は小文字で表示されている。

    [OK]をクリック


  10. FLASH USB DIRECT Programmerの右上の[×]ボタンをクリックする。

    右上の[×]ボタンをクリック


  11. FLASH USB DIRECT Programmerのウィンドウが閉じる。
  12. FM3 USBスティックボードをPCのUSBポートから引き抜く。

μT-Kernelの動作確認

手順

  1. FM3 USBスティックボードのmini-USBポートとPCのUSBポートを製品に付属のUSBケーブルで接続する。
  2. 自動的にCOMポートが割り当てられるので、デバイスマネージャーの「ポート(COMとLPT)」欄で、確認しておく。
    正常にFM3 USBスティックボードがPCに認識されていれば「USB Serial Port(COMx)」(「x」の番号は環境で変化する)と表示される。

    例:USB Serial Port(COM8)の場合

    COMポートの割り当て


  3. [スタート]-[すべてのプログラム]-[Fujitsu Semiconductor Europe]-[Utilities]-[Serial Port Viewer and Terminal]の「Serial Port Viewer and Terminal」をクリックする。
  4. Serial Port Viewer and Terminalが起動し、Windowsの右下のタスクトレーに常駐する。

    Serial Port Viewer and Terminalの常駐


  5. タスクトレーにあるSerial Port Viewer and Terminalのアイコンを右クリックする。
  6. COMポートの一覧が表示されるので、手順2で確認したFM3 USBスティックボードのCOMポート名を選択する。

    例:USB Serial Port(COM8)の場合

    COMポートの選択


  7. Serial Port Viewer and Terminalのウィンドウが表示される。

    Serial Port Viewer and Terminalのウィンドウ


  8. 「Baud Rate」で「115200」を選択する。

    「115200」の選択


  9. ウィンドウ中央にある「Click Here To Connect」をクリックする。

    「Click Here To Connect」をクリック


  10. 正常に動作すればBaud Rate欄の右側が「Connected」に変わる。

    「Connected」に変わる


  11. FM3 USBスティックボードを「RUN」モードになるようにスイッチを切り替える。
  12. FM3 USBスティックボードのRESETスイッチを押す。
  13. Serial Port Viewer and Terminalのウィンドウ内にμT-Kernelの起動画面が表示される。

    μT-Kernelの起動


  14. キーボードのキーを押すとμT-Kernelの終了画面が表示される。

    μT-Kernelの終了


  15. PCに接続したUSBケーブルを抜く。
  16. Serial Port Viewer and Terminalのウィンドウが自動的に閉じる。

変更履歴

  • 2014年12月17日
    μT-Kernel 2.0の情報を追加。
  • 2013年12月27日
    FM3 USBスティックボードのセットアップの注意欄に情報を追加。
  • 2013年10月15日
    Cygwinの環境設定のcygwin.batの編集手順を削除。
  • 2013年9月11日
    Cygwinのダウンロードおよびインストール時の注意書きを追加。
  • 2013年9月5日
    初版